日々のしおり

黒い龍と「無」の世界──クリス先生の初お滝体験

滝修行

 前回の記事「クリス先生、お滝修行デビュー ― 瀧谷不動尊での初行」に続き、今回はクリス先生ご自身がFacebookに綴られた、お滝修行での体験をご紹介します。
 ご本人のご了承をいただき、そのまま掲載させていただくことにしました。

 同じ出来事でも、先達である私から見えた世界と、実際にお滝へ入られたご本人が体験された世界は、また違ったものがあります。
 どうぞ、その貴重な体験をお読みください。

 大阪府富田林市にある瀧谷不動明王寺にて、初めて滝修行をさせていただきました。

 数か月前から金澤先生のお話を伺っていて、「ぜひ一緒に行きたい」と、ずっと興味を持っていました。
 ただし、滝修行のあとに一か月ほど頭痛などの身体の変調が続いた方もいらっしゃったと伺っていたので、少しドキドキしながら迎えました。

 お滝場に着くと、先達である金澤先生が傍で護身法を施してくださり、親切に作法を教えていただきながら、お滝を開いてくださいました。

 滝に入り、しばらくすると、綺麗な黒い龍のようなものが、私の足元の後ろから背中に沿って、肩甲骨の高さぐらいへ飛んでいくように見えました。

 「これは何だろう。」

 「信頼して身を委ねてもいい存在なのだろうか。」

 「それとも警戒した方がいいのだろうか。」

一瞬、そんな不安がよぎりました。

 そのとき、金澤先生が奏上してくださる真言のお声に耳を傾けて、心が落ち着いてきました。まるで大きなものに守られているような安心感に包まれ、幸せな感覚がじんわり広がっていき、

「ああ、身を委ねても大丈夫なんだ。」

 それから気づくと、真っ黒な「無」の世界に入っていました。
 その真っ黒な世界の中で、前方に自分自身の姿が見えてきました。
 その姿は私に背を向けたまま、ゆっくり前へ進んでいき、もう消えそうになった、

 その瞬間。

 自分の胸へ目を向いていた。

 目は閉じていたのに、胸には大きな穴が開いていて、底が見えないほど深く真っ黒でした。

 その瞬間、「このままだと何か嫌なものが入ってきてしまうのでは」と不安になり、とっさにその穴へ光を送ろうとしました。

 でも、何も変わりませんでした。

「これは、何かで埋めるものではない」

 空白のままでいいんだ、と。

 そう思えた瞬間、自然と目が開き、滝から上がらせていただきました。なんとも言葉に表現しきれない、初体験でした。
 ずっと見守ってくださった金澤先生に心より感謝しております。

 滝から上がったあと、不動明王が持つ剣には「倶利伽羅龍王」という龍が巻き付いていることを教えていただきました。
 私が見た黒い龍のようなものが、その倶利伽羅龍王だったのかどうかは分かりません。

 ただ、なんと、今日は不思議にパワーフルです。

 ありがとうございました。

 心の奥から感謝しております。

 以上が、クリス先生ご本人が綴られた体験です。

 同じお滝修行でも、先達として見えていた世界と、実際にお滝へ入られた方が体験された世界とでは、受け取るものが大きく異なることがあります。
 今回、その両方を記録として残すことができたことは、とても意義深いことだと感じています。

 修行とは、不思議な体験を求めるものではなく、自分自身と向き合うためのものです。

 修行をしたからといって、自分が特別な人間になったと思わないこと。

 むしろ修行を重ねるほど、人は当たり前の、自然な姿へと還っていく。それが本来の修行なのだと私は思っています。自我を少しずつ削り、本来の自分へと立ち返っていく。その道筋こそが修行です。

 鍼の道も、禅の道も、そして「道」と名の付くものは、結局は本来の自分へ帰っていくための道なのだと思います。

 クリス先生にとって今回の初行が、これからの人生や治療家としての歩みに、静かな力となっていくことを願っています。

滝谷不動尊 お滝場にて撮影

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