日々のしおり

遭遇した副反応の症例-心不全? (4)

この記事について

 専門用語を極力使わずに、起きている現象を東洋医学的に解説してみました。

 予防接種後に現れた漫然とした違和感から次第に持病が悪化し、いずれ心不全に至るだろうと思われる症例です。

※青い太文字には、リンクを貼っております。

目 次

  1. 1.これまでの経緯 60代男性 農業従事者
  2. 2.診察所見
  3. 3.治療とその考え方
  4. 4.痰を生じやすい要因
  5. 5.原因の究明
  6. 6.終わりに

1.これまでの経緯 60代男性 農業従事者

 この方の原疾患はむち打ち損傷でして、2011年に停車中に後ろから激突されてむち打ち症を発症され(廃車になったそうです)、以後右腕が上がらなくなって終日疼きと夜間痛がありました。

 約3年前からご縁があって定期的にご受診くださいまして、昨年からは軽い農作業ができるところまでご回復されておりました。

 筆者の郷里から、電車とバスを乗り継いで通ってくださっていたのですが、最近は養生のために2~3週間に1度くらいの間隔で通院くださってます。

 毎年、雨の前後や梅雨の時期は、症状が悪化しておられたのですが、昨年は特に症状も現れずに快適に生活できたとのことで非常に喜んでくださってました。

 ところが今週、以前のように疼きと夜間痛が再発したとのことで、筆者も「何があったのだろう?」と思いながら脈診をしたところ、びっくりしてしまいました。

2.診察所見

 心拍数が極端に遅く、しかも力なく時々脈拍が止まってまた拍ち出すのです。いわゆる不整脈ですね。

 そしてお腹と背中、手足に触れると、とても冷たい!! のです。

 これはどういうことかと申しますと、何らかの原因で身体の元気が弱って陽気が残り少ないことを物語っているのです。

 つまり、心臓が止まりそうな状態、心不全になりそうだということです。

 そして通常、陽気(元気)が不足すると舌の色は真っ白になるのですが、通常よりちょっと赤味がきついのです。

 舌診とは、主にお腹の中の状態を診る方法です。

 

 そうしましたら、身体の表面や手足は冷たいのに、お腹の中にはちょっとした熱があることになります。

 つまり、体温(元気)が身体内にこもってしまって(内熱)、身体の表面や手足にめぐっていない状態です。

 これは以前書きましたアナフラキシー症状の東洋医学的見解と程度が異なるだけで病理は同じです。

 <遭遇した副反応の症例 (3)> 

 過去、この方が症状悪化するときは、決まって痰を喀出されていました。

 ですが今回は、痰は出ないとおしゃられるのです。

 ですが筆者は総合的にみて、この状態を「伏痰」と判断しました。

 つまり、痰がどこか深いところに隠れて詰まってしまい、身体の陽気が流れなくなっている状態だと認識して治療したのです。

 要約しますと下図のように、内熱で煮詰まった痰が、元気を閉じ込めているようなイメージです。

 治療が終わって、身体に何が起きていたのかを説明するときに、「痰」のお話をしたのですが、この方がおっしゃるには、「そういえば2~3日前から、喉がふさがったような、詰まったような感じがしてとても不快だ」とおっしゃったのですね。

 これはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、詳しくお聞きすると梅核気(ばいかくき)と称する病態だったことが分かったのですね。(これは最後にもう一度触れます)

3.治療とその考え方

 体液と体内の熱が手を結んでいる状態なのですから、身体の上下に鍼を置いて、この結びを解くような治療を行いました。

治療穴

足陽明胃経 上巨虚穴

 この2穴で元気のめぐりは回復し、脈に力が戻り、不整脈も改善されました。

 結果として、身体の疼きも改善されたわけです。

4.痰を生じやすい要因

 改善されたのは喜ばしいことなのですが、再発を防ぐためにはその要因をしっかりと認識しておく必要があります。

 痰が生成される要因は様々なのですが、飲食と精神状態が主な要因になります。

 団子やお餅、甘いもの、脂っこいお肉や揚げ物、味の濃いもの、お酒、乳製品といった食品の過食は痰を生じやすくします。

 精神状態としては、主に情志(感情)のうっ滞です。

 言いたいことが言えない、感情を出すことが出来ない、過度もしくは緩慢で長期間の緊張などです。

5.原因の究明

 この方は普段から質素な食生活をされており、たまに訪ねて来るお孫さんのお相手をとても楽しみにしておられる農業従事者の方です。

 何故このような状態になったのか、原因が分からない…

 考えあぐんでましたら、そういえば10月下旬に今流行りの予防注射を受けてからなんとなく身心の様子が変わってきたとおっしゃるではありませんか。 

 接種部位は、えらい痛んだものの数日で治まったらしいのです。

 が、その後、なんとなく身体も気持ちも重くなり、何もする気が起きなくなっていったとのことで、ここ2~3日前から喉が塞がるようになったとのことです。

 さらに詳しく聞けば、梅核気の症状が出ておられたので、やはり心下に「伏痰」が存在していたんだなと、治療後に確信を得たという次第でした。

6.終わりに

 この方は、なんとなく身体も気持ちもおかしい…と感じられ、さらに持病が悪化したことで、良いタイミングでご受診くださいました。

 おそらく、このまま漫然とお過ごしになっておられたら、何かのきっかけで心不全を起こされていたであろうと推測できます。

 しかし、この予防接種との因果関係は、現代医学ではおそらく立証できないでしょう。

 ちなみにこの方、お身内の方やご近所の方に、副反応で寝込んだ方や、接種以来不調で悩んでおられる方を目にしておられます。

 接種を受けるか受けないかを、奥様と随分お考えになられたとのこと。

 が、孫に会いたい一心で接種を決意されたとのことでした。

 予防接種は、接種を受けたご本人が感染しても発病しない、もしくは発病しても重症化しないためのもので、接種を受けたことでキャリア(病原体を運ぶ人)にならないことではありません。
 つまり、接種と他者への感染防止とは何の関係も無いのです。

 このことは、マスコミでもあまり報道されていないようですが、このようなことを十分理解しておく必要があります。

 予防接種を受けるか受けないかは、個人の判断と責任に任されております。

 筆者は、自分が目にしたことをそのまま書いてます。

 みなさまの予防接種の情報のひとつとしてご活用していただいて、ご自身の納得のいくご選択をなさってくださいね。

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ご近所の花壇にて

タグ: 心不全

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