日々のしおり

遭遇した副反応の症例 (3)

症例

 予防接種を受けるか受けないかは、個人の判断と責任に任されております。

 筆者は、自分が目にしたことを、そのまま書いておりますので。

 このような点を良く踏まえていただいて、以下をお読みくださればと思います。

 今回ご紹介する方は、軽度のアナフラキシーを起こしておられるのですが、東洋医学的にアナフラキシー症状を説明したいと思います。

副反応が主訴のケース 40代前半 女性会社員

 この方の原疾患は、生理痛(排卵痛)と季節性鼻炎でして、現在は養生のために月1~2回通院して下さってます。

 今回は、1回目の接種直後から、頭痛、頭のふらつき、吐き気、咳、注射部位の筋肉痛様の痛みが現れ、この状態が約1週間続いたとのことで、注射部位は触れるだけでも厳しい痛みが数日間続いたとのこと。

 来院時の症状は主に、電気が走るような痛みの頭痛と、頭皮がヒリヒリとして過敏状態で、時に頭がふらついて、フーっと意識が遠くなるようになり、倒れそうになるとのことでした。

 (ちなみに後日ご本人に確認しましたところ、現在は接種による症状は、すべて消失しているとのことです。)

 またこの方は接種直後から、「とにかく寒かった」と話されてまして、前回の投稿、遭遇した副反応の症例 (2) でも触れました、「悪寒」かなと思って詳しく問いますと、どうも違っていまして「畏寒(いかん)」という状態でした。

 この「畏寒(いかん)」という点が、今回この方に生じた副反応の病理を解くカギとなりました。

 この「畏寒」症状は、衣服を重ねたり暖を取ると軽減します。

 それに対して「悪寒」は、衣服を重ねたり温めたりしても、症状の軽減はみられません。

(悪寒は、いわゆる風邪感染 初期症状に特有の症状です)

 この時点で、いわゆる表証⦅感染症⦆では無くて、接種によって元々この方の身体に存在していた要因によって、過剰に反応したものと判断しました。

 いわゆる、軽度のアナフィラキシー反応です。

 東洋医学ではこのような状態を、厥証(けっしょう)という概念で認識します。(後述いたします)

 この方の場合、接種薬に反応し、素体に元々鬱積していた内熱がみぞおちに結集して詰まっておられました。

 そこで、「百会」という経穴を使い、内熱を上に引き上げて排泄を促すことで、結果としてみぞおちの詰まりがほどけて症状の緩解が得られました。

 内熱を示す所見のひとつである治療前の赤黒い舌の色が、治療後にはきれいなピンク色に変わっていました。

 ちなみに、この『悪寒』という症状は、ゾクゾクとしてして衣服を重ねても布団に入っても治まらないのが特徴で、外邪(病原菌・ウイルス等)が侵入し、体表の陽気のめぐりが阻害された時に起きる典型的な症状です。

 それに対してこの「畏寒(いかん)」というのは、「さむがる」という点では同じなのですが、衣服を重ねたり暖を取ると治まる状態です。生命エネルギーである元気の流れが、身体のどこかで阻害されていることで生じます。

 他覚的にも、直接肌に触れると、冷たく感じるのが「畏寒」の特徴でもあります。

アナフィラキシー反応の東洋医学的解説

 東洋医学では、生命エネルギー=元気の源は、下腹部の丹田にあります。

 下図をご覧ください。

 この下腹部・丹田が充実していますと、心も体も安定して生命が輝く元気の状態となります。

健康で元気の状態

 そして下腹部・丹田から気血(生命エネルギー)が、全身くまなく循環している状態が健康(正常)です。

 このような健康状態の身体に、異物が侵入しますと、生命エネルギーはそれを排除しようと侵入部位に集まってきます。

 それを表したのが、下図です。

異物に対する身体の反応

 

 異物がその人の身体にとって、有害であると判断すればするほど、反応も大きくなります。

 また、身体内に内熱が多く停滞していても、反応はより早く大きくなります。

 鍼灸師が用いる鍼も異物ですから、異物である鍼を太くすればするほど、身体の元気の反応も大きくなります。

 薬物の毒性と鍼の太さの程度は、異物に対する有害度でもある訳ですから、身体にとっては同じ反応を起こすわけですね。

 ちなみに、丹田の元気の弱っておられる方は、鍼を太くいたしますと丹田の絶対的な元気が不足しますので、反って疲れやすくなりますので、治療者は患者さんの状態を的確に把握したのち、適切な太さの鍼を選択します。

 また当院で用いてる少数鍼ですと、身体の元気も1点に集中しますので、選穴が的確であればシャープな効果を得ることが出来ます。

軽度のアナフィラキシー状態

 そして侵入した異物に対して、身体が危険と判断しますと、元気は大挙して患部へと向かいます。

軽度の反応

 その際、図ー2の赤丸の部分=みぞおちで元気が詰まってしまうことがあります。

 元気の勢いが強すぎる場合が多いのですが、身体の余分な体液(水・痰)内熱などが一緒になってみぞおちをふさいで生じることも往々にしてあります。

 みぞおちで元気の通りが悪くなるのですから、主に上半身から元気不足の症状が現れてきます。

 頭から血の気が引く・頭がふらつく・意識が遠のくような感じがする、手が冷たくなる・手の震え・力が入らない、動悸、呼吸がしづらい、言葉が出にくい、等々です。

 みぞおちにボールが当たったり、たまたまみぞおちを打ってしまった場合、呼吸がしずらくなって動けなくなる経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。

 重度・経度を問わず、アナフィラキシーを起こした場合、このみぞおちに何らかの詰まりの現象が確認できます。

 みぞおちは、常日頃からゆったりとくつろいでいる状態がよろしいのです。

重度のアナフィラキシー状態

 図ー3のように、身体の元気は患部に向かおうと勢いよく上がって来て、他の病邪と一緒になり、みぞおちを堅く塞いでしまいます。

 そうなりますと、この部位で生命エネルギーが遮断されますので、意識障害、呼吸困難、顔面蒼白などの重篤な症状が現れます。

 また冷えは、手足の先から次第に体幹部へと急速に登ってきます。

 

 東洋医学的には、てんかん発作、食物アレルギーショックなど、急に手足が冷えあがり、意識状態に変調を起こす疾患を「厥証」として認識して治療を行います。

アナフィラキシーの予防策

 なんと言っても総じて、心と身体の新陳代謝を良くしておくことです。

 お腹をゆっくりと膨らむように大きな呼吸をして、スーっと息が入って来るようでしたら、みぞおちはくつろいでおられますので、一度チェックしてみてくださいね。

 呼吸には、心身の状態が如実に現れますのでね。

 そして夏でも汗をかきにくい方は、身体に熱がこもりやすいのでリラックスして軽い運動をするなど、適度に発汗を促す工夫をされ、ストレスなどでうっ滞しがちな元気の巡りを良くしておかれるとよろしいかと思います。

 また大小便がきちっと毎日気持ちよく訪れることも、とても大切なことですね。

 またマインド的には、感情をため込まないことです。

 感情は、大きなエネルギーですので、ため込むと体内に内熱として鬱積します。

 鬱積した感情エネルギーは、爆発的な言動や行動として現れることもあれば、病として現れることもあるのです。

 そして過ぎてしまったことをいつまでもクヨクヨ思ったり、心の引っ掛かりとして持ち続けないこともとても大切なことです。(気滞となりますのでね。)

 いろいろとご自身で工夫されて、心と身体の緊張を解いて、のびのびと毎日の生活を送ることですね。

 これらのことは、あらゆる病の予防にも共通することです。

 簡単なことのようで、なかなかむつかしく感じておられる方もいらっしゃるとは思います。

 「こころ」と「からだ」の養生。

 あちらこちらにちりばめながら、これからも書いて参りますので、みなさま、どうぞよろしくお願いします。

 

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