日々のしおり

飮食物の選択

飮食について

雪の朝、葉牡丹

 筆者は、地方の田舎で昭和30年代初めに生を受けたのですが、高度成長時代の物質的に豊かになっていく移り変わりを、目のあたりに見てきたギリギリの世代ではないでしょうか。

 食べ物だけじゃなくって、衣食住、人々の意識も大きく変わり、物の選択肢が広がり、豊かさを実感しています・・・ありがたいですねぇ。

 その反面、現代病の代表ともいわれるガンや免疫疾患、そして精神疾患が続出しているのは、陰の面ですね。

 その陰の面に光を当てると、様々なことが見えてくるのですが、その一端として飮食物に焦点を当てたいと思います。

 日常の食べ物として、先ず挙げられるのは「お米」

 元々は大陸からのものですが、弥生時代からすっかり日本化して以来、食文化の中心となっています。

 武家社会になってからは、大名の規模は、お金よりも石高で表されていましたから、日本の生活文化の中心であったともいえると思います。

 この「お米」、食べておいしいのはもちろん、高温多湿の気候風土の日本にあっては、栽培にも適していたのだろうと想像できます。

 筆者は、その地域特有の文化は、その地域の気候風土が決定すると考えています。

 古来より人間は、その地域特有の気候風土で生きていくために、地域共通の規範を生み出して来ました。

 米作りには、多大な労力が必要です。

 そこでひとりひとりの感性や意見の違いを乗り越え、村全体で稲作栽培を行う必要性から、和の文化の基礎が出来上がったのではないかと考えています。

 これが、農耕民の文化だと思われますし、意識の根底を形成しているのではないかと思うのです。

 ちょっと話がそれますが、大陸からの移民が多く、他民族社会であった奈良時代に、聖徳太子が「和をもって、尊しとする」と述べたことも、米文化にその由来があるのではないかと思っています。

 筆者は、日常の食べ物は、この日本の伝統文化を意識して選ぶのが、基本だと考えています。

 なぜなら、長く食され受け入れられてきたということは、身体的にも高温多湿の気候風土に暮らす日本人の体質に最も適していたからだと考えられるからです。

 「お米」離れと言われて久しい今日ですが、朝食はパンより米食を基本とするのがよろしいのです。

 パンとお米のどちらが優れているか、といった議論には意味がありません。

 パンには、パン食に合うものがあり、米には米食に合うものがあり、それぞれ両地域の気候風土の違いがあるだけです。

 パン食に合うものといえば、バターなどの油脂をはじめ、ジャム、肉類、シチュー、生野菜、牛乳、チーズなどの乳製品などが挙げられるのではないでしょうか。

 一方米食に合うものといえば、ノリ、ひじき、油揚げ、お豆腐、味噌汁、季節の葉・根菜、山菜などの煮物や和え物、魚の焼き物、食後の緑茶といったとこでしょうか。

 パン食の文化は、肉食の文化でもあります。

 パン食のヨーロッパ文化は、日照時間が短く寒い地地域ならではのもので、その地域で収穫し、加工し、それを生きる糧として発展してきたものです。

 乾燥地域では、身体を潤す作用のある乳製品が理にかなっていますし、陽気の強い肉食もまた当然のことです。

 一方、冬であっても湿気を感じる日本では、奈良時代に仏教と一緒に醍醐(チーズ)という乳製品が入って来ています。

 ところが、日本文化に定着しなかったのは、日本の気候風土に培われた、日本人の体質に合わなかったからだと、筆者は考えています。

 最近の風潮として、豚トロとか称して、脂っこく濃厚なものを好む傾向にあるように思えるのですが、日本文化ではダシに代表されるうま味にこそ重点が置かれていると思います。

 脂っこく濃厚な味のものは、体に内熱を生じさせます。

 (内熱=体温計では、測れない東洋医学独自の概念)

 保湿作用のある牛乳やチーズ・ヨーグルトは、体液の代謝異常を来しやすくなります。

 体液の代謝異常の初期は、雨の前後になんとなく頭や身体が重だるく、ボーっとし、大便も柔らかく粘るようになります。

 内熱は、その性質から亢進するので、落ち着きがない、イライラする、少しのことに異常反応する、大小便や汗・体臭がきつくなるなどの兆候が現れます。

 香水などは、肉食文化の地域で、体臭を消すために考え出されたものです。

 現代病は、この内熱と体液異常によって起きるケースが最も多くみられます。

 パンよりお米、ラーメンよりうどん・そば、ピザよりお焼き、サンドイッチよりおにぎり、スープよりお味噌汁、ジュースよりお茶、ケーキよりも和菓子・・・こんなところを意識して選択されるのがよろしいかと思います。

 病は、突然起きるように感じますが、それまでの積み重ねの結果です。

 毎日の食事。

 ちょっと意識するだけで、日を重ねると随分と違ってきます。
 

 鍼専門 いおり 鍼灸院

 

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