日々のしおり

【むち打ちと緊張】

酒井 つぐみ

急に驚かされたり、思いもよらないことが起きてびっくりすると、「ひょえっ!」と、肩が上がって緊張するのは誰でも体験したことがあるだろう。

肩が上がって緊張、つまりエネルギーが上で詰まってしまった状態。
だから、むち打ちになると、肩首が痛んだり、手がしびれたり、上半身に症状が出ることが多い。
時間が経つにつれて、意識的には緊張は取れていくが、無意識下での緊張が残っていると、症状が出やすい。


10年以上前、交通事故等でむち打ちにあってから、肩から首にかけてのツッパリがとれない、という女性。痛みがひどい時は、シップや塗り薬でだましだましやり過ごしていたそう。

やはり、お腹や脈を診ても、胸のあたりの上半身で流れが詰まっていた。

背中に一本、手先に一本鍼を刺す。
プッチンプリン理論と勝手に呼んでいるが、上に穴をあけることで、上半身で詰まったエネルギーが下に降りてくるようにする。
人によっては上に穴をあける(鍼を刺す)だけで、全身にエネルギーが巡りだすのだが、それでは少し足りなそうなので、足に一本鍼を刺し、下半身にエネルギーが集まるように処置をした。

その日はそれで終了。
それ以来、肩首のツッパリが出ることはなくなったようだった。


交通事故ではなくても、手術後に起こる不調や、職業柄緊張が伴う仕事をされている方も同じような状態になりやすい。
知り合いの漁師の方も、むち打ちではないが、職業柄の緊張によって、同じような状態だった。
肩、ひじ、腰が痛い、と。
診せてもらうと、揺れる船の上で漁をする仕事、身体がずっと緊張状態であった。
比較的若いのもあってからか、背中に一本鍼を刺すと全部の症状がとれた。

意識的、無意識的にかかわらず、身体が緊張していると肩が凝りやすかったりするように、緊張もエネルギーの停滞を起こしやすい。


ついでに、先日の勉強会でのこと。
むち打ちにあって以降、身体の不調があるという方。
問診の勉強時、モデルになってくださったその方に、先生が詳しくその時の様子を聞いていた。
「保険会社はどんな対応をしたか?相手は見舞いに来たか?誠実な対応をしてくれたか?・・・」
問診の様子を見ていて、どうしてそこまで詳しく聞くのだろう?と、思っていた。

聞くと、相手が誠実に対応してくれなかったり、自分が納得できていない保険金の額だったりすると、それが『遺恨』として残り、そのモヤモヤやわだかまりが身体に現れることがある、とのこと。
「もう終わったことだからしょうがない、どうしようもない」と軽く思ってしまうような感情や怒りは蓋をしがちだが、その裏には「自分を大切に扱ってもらえなかった」「雑に扱われた」という気持ちも含まれている。

意識に上げたところで、じゃあどうしたら?と思いがちだが、まず「蓋をせずに自覚する」ことがまず第一。
過去の感情が自分の体調とつながっているということに気付けると、「しがみついていても仕方ない」と、その感情を手放しやすくなる。

手放すというのは、人(あるいは自分)に対する、「許し・赦し(ゆるし)」みたいなものか。
人にどうこうしてもらおう…ではなく、いかに自分がご機嫌に生きていくか、そこに尽きる気がする。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

▲