先週末、筆者宛に現金書留が届きました。
あまりにうれしかったので、シェアさせていただきますね。
驚いて封を切ると、なんと母娘連名のお見舞いでした。
今回の筆者の大ケガを知った、郷里での患者さんからの贈り物でした。
この方々、30年前、筆者が開業してまだ間もないころに家族ぐるみでよく通ってきてくださってたのです。
電話を入れると、筆者が大ケガをしたことを知って送ってくださったようで、色々あったなぁと、しばし思い出に浸ってしまいました。
当時、娘さんは20代独身の会社員。
愛くるしい、かわい~いお嬢さんでした。
理由なく会社に行けなくなって、自宅にこもるようになっておられたのですね。
むろん、身体症状もありました、背骨の中を虫がはうような蟻走感とか。
いろいろと話を聞いていると、中学生の時は、すでに自分がやってることや人と関わってるときに現実感がなかったと言います。
いわゆる離人症の症状ですね。
会社には行くことができなかったのですが、筆者の治療所がご近所ということもあって、よく通ってくださいましてね、次第に外に出て軽い運動もできるようになっておられたのですね。
ところがある日、お母様から連絡があったのでした。
あんなに素直で良い子だったのに、先生のところに行くようになってから、大声で親に反抗する上に暴れるようになったと。
そら、すさまじい状況だったようです。
本人からも連絡がありまして、金澤先生が迷惑がっているから来院しないようにと言われたのですが本当ですか?というものでした。
当時筆者は、ご家庭の中で起きてることを知る由もなかったのですが、彼女が来院するたびに、よ~く話を聞いてあげたものです。
私は洋服ひとつ選ぶにも、自分で決められないほど自分がなにを感じているか分からず、なにもかも親に決めてもらっていたと話してくれます。
あぁ、遅い反抗期なのかなとその時思ったものです。
そして筆者は、この方々について行くしかありませんでした。
そのうち次第に会社に行くことができる日も増えてきたある日、恋人ができたと嬉しそうに話してくれたのですね。
それからですね、状況が一変したのは。
恋愛は、どんなセラピーよりも効果的と聞き及んでましたが、この方の場合、そのまま当てはまったようです。
恋人を伴って受診してくれたこともありました。
が、当然、筆者からも次第に離れ、結局この方と結婚されてご家庭を持っておられます。
その後お父様をお見送りされ、お母様は現在80歳を超えられて今なおご健在のご様子。
ちなみにお父様、深夜、意識を失って倒れられたとき(呼ばれて往診に行ったのですねぇ)、筆者の鍼で蘇生したのです。
駆けつけたとき、廊下の上にあおむけになって倒れられてまして、筆者は正直「なんで救急車呼ばへんねん!」と思ったのですが、とっさに玄関から上がり込んで脈を取ってしまったのですねぇ。
ほとんど触れるか触れないかの脈でしたが、鍼をすると脈力が出てきたので助かると判断してその場を辞したのです。
翌日お伺いした時には、はっきりと意識は戻っておられまして、大きくてとてもきれいな三途の川に臨んでいたら、金澤先生の声が聞こえたので戻ってきたと話してくださった方です。
三途の川向うは、とても魅力的な楽園のように感じられたそうですよ。
なんか、色々思い出してきました。
たくさんお野菜なんかも頂戴しました。
このお父様、筆者が郷里の治療所を閉めて大阪に出る日、先生に命を助けてもらったと、餞別をもって駆けつけてくれました。
そしてそれから10数年。あっという間に感じます。
あの当時から長い年月を経た現在も、筆者のことをこころにとどめてくださってることに、なんとも表現のしがたい無量の感があります。
すばらしいギフトを頂きました。
ちゃんと受け取って、自己肯定感・存在感につなげなくってはねっ。
そして改めて、鍼の学術・技能を高めていくことも大事なことですが、それ以上に良くも悪くも「関係性」の重要性を感じた次第です。
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