
意外と知られていないのだが、鍼灸と漢方の気の読み方は同じ。
私は、一の会で日本の古方派の見方で漢方を習っている。
鍼灸でやっている気の動かし方は漢方に通ずるので、漢方のことも少しずつ学び始めている。
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で、実家のワンコのこと。15歳なので、もうおばあちゃん犬だ。
2年前の夏に、散歩中、熱中症のような症状になりかけ、倒れかけた。
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オカンから連絡があり、電話で状況を聞いた。
「散歩中に歩けなくなり座りこんだ。
動物病院に連れて行ったらメニエールみたいな症状で前庭の疾患と。
症状としては、眼振と嘔吐、ふらつきがある。
喉が渇いているのか、水をたくさん飲んでるね。」
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人体でイメージしてみる。
このふらつき、眼振、嘔吐は、尿が出ていないのに水を飲んでいるので、そこでたまった余分な水が水が上に突き上がっているからではないか?
そして、水を飲んでも口渇が収まっていないのは、身体のどこかに熱が隠れていて、水が行くべきところに行っていない(水の偏在がある)のかも。
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ここで、浮かんだ。
・・・五苓散証かもな。
以前、先生の臨床を診させてもらっている中で、五苓散証の患者さんがいらっしゃった。
そこでのお話を思い出し、五苓散証と確定するためには、あとは尿の出方が分かればいいと思い、私は聞いた。
「おしっこは出てる?」
するとオカンは、
「そういえば、飲んでいる割にあまり出ていないかも。」
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五苓散証だ。
これは、二日酔いやめまいに効く、と世間ではよく言われている漢方薬。
だが、めまいだからコレってわけではなく、東洋医学の世界では、体内で何が起きていて、めまいが出ているのか?から探っていく。
それがわかれば、五苓散が二日酔いに効くってのも理にかなう。
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五苓散は、茯苓・白朮・沢瀉・猪苓・桂枝という5つの生薬からできている。
桂枝で突き上がる気を下ろし、白朮・茯苓・猪苓・沢瀉で水の流れをよくして水の偏在を均し、体内での不要な水は尿として持っていく。
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そんなイメージだったので、うちのワンコの症状にピッタリだと、先生も相談したのち、
五苓散を飲ませてみて、と伝えた。
で、飲ませていると、出ていなかった尿がでるようになり、諸症状もとりあえず落ち着いた。
あれから2年経つが、一度10日以上飲まず食わず状態になったこともあったり、認知症や耳が聞こえない、目が見えない、おもらしする、足腰が弱っている等、介護が大変そうだが、五苓散が合っているのか?メニエールはもう出ていない。
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まあこの水の巡りの悪さは、おそらくストレスによるもの・・・(笑)
鍼灸の免許だけじゃ、漢方は処方できないのが現実だが、体において気血水の流れがどうなっているか&生薬がどう働くかが分かれば、鍼灸と漢方は同じように考えられるし、臨床での応用にも役立つ。
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たまに、鍼の先生も体質が分かっている遠方の患者さんや緊急の患者さんに、
電話で漢方のアドバイスをしているが、それを見ていつも、こんなのが出来たらかっこいいな~と思わせてもらっている。
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でも、「漢方は胃腸に入るから、間違うと長引いて患者を苦しめるから怖いんや。しっかり勉強しておくんやで。」と、先生からは言われている。
道のりは長いな・・・。
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