日々のしおり

【手術をした後から、肩首のコリが取れない…東洋医学的メカニズムを解明してみた💡】

酒井 つぐみ

先日、お身体を診せていただいた方のお話。
問診で詳しく状況を聞くと、一週間前に抜歯の手術をしてから、肩首のコリ、痛みが取れないとのこと。

鍼の先生から以前、「術後は、緊張が取れなくて不調になる人もいるからねー。」ということを聞いていたのもあり、すぐに「あ、手術が原因だ!」と繋がった。

誰でも刃物を持った人が自分のに近づいてくると「え、怖い!」と感じて身体がガチっと緊張するように、
視覚的に認識していようがいなかろうが、メスなどの刃物が自分の身体に入ると身体は緊張する。
その緊張が抜けないのが、この方の肩首のコリの原因になっている、とみた。

身体を診せてもらうと、確かに肩甲骨の周囲が張っている。
寒いと肩がこるのと同じように、ガチっと肩首が緊張しているのは気が上がってそこで停滞しているから。
この方の場合、全身を見ると、肩(上半身)が緊張している分、腰(下半身)は、エネルギー不足を起こしていた(上実下虚)。

さあ、ここまで体表観察で分かったら、あとはなぜ緊張が取れないのか?なぜ停滞を起こしているのか?を解明すれば、出来るだけ少ない鍼で解決できる。
うまく気血が巡れていれば、この緊張も自然と取れていくはず。
・・・しかし、なぜか緊張が取れないで残っている。

脈や舌の状態、問診も含めて身体全体を診てみると、
ネバっとした体液が気の流れを阻んでいることが、緊張が取れない原因になっていそうだ。

これで、ある程度この方の身体の状態は見えてきた。
あとは、なぜ体液がネバっているのか?の証拠集め。
普段の食生活…?それともストレスが関わっているか…?
どちらもあるかもだが、どちらが今の身体の状態に大きく関与しているのか?
・・・
そこで「普段の食事って、結構濃かったり、揚げ物が多かったりしません?」と尋ねると、
「確かに、家族みんな濃い味が好きで普段の食事は割と濃いかも。旦那さんも結構ガタイが大きいんです。」
と返答が。

ここまでわかれば、自信が持てる💡
食事によって、身体(胃)に熱が生まれて体液がネバっとしていたのが元の身体の状態としてあった。
そこに抜歯の手術をしたことで、「うわー怖い!」と身体が感じ、一気に気が上にのぼった。
うまく巡れていれば、何もせずとも気が降りてくるのだが、この方はネバっとした体液がエネルギーの流れを阻み、気が降りてこれなかったことで、肩首のコリが出ている、とみた。

ネバっとした体液を流し、上がった気を降ろしていくように鍼をした。
施術後、病理機序と普段の食事の味付けは薄めにしたほうがいいかな~と伝え、施術を終えた。
翌朝、びっくりするほど大量の便が出て、肩首のコリも良くなり驚いた!と、
メッセージをいただいた。便とともに邪を出せた、ということ。それなら、一層安心だ。

臨床ができるようになって先生から、
「なんかなしに鍼するんは、あかんで。」ということを口酸っぱく言われるようになった。
まぐれで当たることもあるが、何を目標としていて、一本の鍼がどう効いて、どう気が動いたかが分からんと、何百回やっても成長せんで、と。

今回は病理が割とはっきり分かったので、迷うことがなかったが、いつもこんなにスッキリ分かるわけではない。
施術後に振り返って分かることもあるし、数回目で分かることもある。

病理をはっきりさせるためにも、
「自分が何を知りたいのか、はっきりさせて患者さんに質問するんやで。」と先生にも言われる。
が、昔から「なにが言いたいんか、分からん(笑)」と、オカンからも言われてきたし、
実際自分が何が言いたいか分からないまま話すことが多い私にとっては、問診(問う力)も大きな課題!!
まあ、伸びしろだと思って練習積むしかないなっ。

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