日々のしおり

精神薬にまつわるお話

診察室の窓

 精神疾患で鍼灸治療を続けて頂いて、次第に良くなって来ますと今度は精神薬の離脱が課題になって参ります。

 その際、廃薬に向けて、精神科医の理解と協力が非常に重要なキーポイントとなります。

 当然、患者さんが良くなるという前提でです。

 現在、双極性障害で社会参加をリタイアし、当院を受診くださってる若い女性患者がいらっしゃいます。

 遠く関東から実家のある大阪に帰阪され、母親に連れられての通院で、引き続き関東でかかっていた病院からの紹介医療機関が、1か月の初診待ち。

 その間に、驚くほど回復され、ご自身の判断で徐々に精神薬を全廃。

 約2年間の服薬に、非常に短期間で終止符をつけられました。(なんと、12種類!も服用しておられました)

 そして紹介先の医療機関を受診し、現在良くなって服薬しなくても良くなってる状況伝えたところ、再発しないためにと精神薬を注射し、定期的に通院の必要性を説かれたと。

 患者さんは、このように医師に言われると、あの辛かった状態に逆戻りすることを恐れるのは当然です。

 その結果、また言われるがままに精神薬を続けることになります。

 それどころか、逆に次第にまた薬が増えてしまうことの方が多くなります。

 この点については、また改めて書きます。

 今回みなさまにお伝えしたいことは、再発するかしないかは、精神薬が決めるのではないということです。

 人は生きている以上、人生で起きる様々な諸問題に直面します。

 人は誰でもそのような諸問題に直面し、時に肉体的・精神的に様々な辛い状態や病に陥ってしまうことがあります。

 通常は、辛いからこそ、一生懸命に自分と向き合い、現実と向き合いながら解決の道を探ります。

 筆者も、そのような経験を何度も何度も経験しています。

 夜眠れない辛さは、解決すべき問題は不眠ではなく、現実の諸問題です。

 決して、精神薬の効能にあるように、脳神経や脳神経物質が問題ではないのです。

 ここを履き違えますと、生きてはいても足踏み状態のまま現実は過ぎて行きます。

 そうなると、ますます患者さんは追いつめられるようになり、出口が全く見えなくなってしまいます。

 不安だから、気分が鬱だから、眠れないからこそ、その背景に目をやり、一緒に解決の道を探ろうとするのが、本来の医療だと筆者は考えています。

 お薬を、否定しているのではありません。

 病とちゃんと向き合うことをお勧めしている次第です。

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