ブログ「鍼道 一の会」

90.太陽病(中)124条 発狂 抵当湯

【一二四条】

太陽病六七日、表證仍在、脉微而沈、反不結胸。

其人發狂者、以熱在下焦、少腹當滿、小便自利者、下血乃愈。

所以然者、以太陽隨經、熱在裏故也。抵當湯主之。方六十四。

太陽病、六七日、表證仍(な)お在(あ)り、脉微にして沈、反って結胸せず。

其の人發狂する者は、熱下焦に在るを以て、少腹當(まさ)に鞕滿(こうまん)すべし、小便自利(じり)する者は、血を下せば乃ち愈ゆ。

然る所以(ゆえん)の者は、太陽經に隨(したが)って、瘀熱裏に在るを以ての故なり。抵當湯(ていとうとう)之を主る。方六十四。

 

  太陽病に罹って6・7日が経過した。

 表証がまだ残っているのですから、頭項項痛して悪寒しているのですね。

 しかも脉微で沈です。

 おそらく、軽按すると脈が浮いているかいないか、微に感じるのでしょう。

 按じて沈位では、数有力なはずです。

 なぜなら、方剤をみると瀉剤だからです。

 さらに結胸していないのですから心下に目立ったものは無い。

 しかしその人は発狂しているのは、熱が下焦にあるのだから少腹は鞕満しているはずである。

 発狂ですから、心下に何らかの邪が現れて欲しいところですが、無いのですね。

 そして小便がちゃんと出ている者は、陰気の不足ではなく、明らかに血証であるので、血を下せば治る。

 これは、太陽の経脈に沿って邪侵入したからで、瘀熱は下焦の裏にあるからである。

  とまあ、こんなふうに意訳・解説してみました。

 最後の「太陽の経脈に沿って・・・」という下りは、おそらく後人の解説のような感じがしています。

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 それはともかく、図の女性、穏やかな表情で、とても狂症には見えませんよね。

 心下に陰邪が無く、下焦の瘀熱が蒸しあがってダイレクトに心神を犯しているのでしょうか。

 次回は、方証を吟味します。

 

〔抵當湯方〕

水蛭(熬) 蟲(各三十箇去翅足熬) 桃仁(二十箇去皮尖) 大黄(三兩酒洗)

右四味、以水五升、煮取三升、去滓、温服一升、不下更服。

水蛭(すいてつ)(熬る) 蝱蟲(ぼうちゅう)(各三十箇翅足(しそく)を去り、熬る) 桃仁(二十箇皮尖を去る) 大黄(三兩酒洗)

右四味、水五升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す、下らざれば、更に服す。

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