ブログ「鍼道 一の会」

医の技(3) 孔穴主治法第一 頭部二行 愚考

医心方

 頭部二行は、所謂足太陽膀胱経の頭頂部周辺の経穴五箇所が記載されている。



五処   此れを以て諸々の陽気の熱、衄、善く嚏り、風にて頭痛み、汗出で、寒熱を癃み、脊強         み、頭反り重き、を泻す。
承光   風にて眩し、頭痛み、歐かんと欲し、煩心、青盲にして遠く視るに明らかならざる、を         主どる。
通天   頭痛み、項痛く、倒れ伏し、鼻の穴塞がり、鼽衄し、喘ぎ息して 通ぜざる、を主どる。
絡却   脳風にて眩し、頭痛み、癲疾にて、伏し倒れ、目盲に、茫忽として楽しまず、狂走し瘛         瘲する、を主どる。
玉枕   汗出でず、悽厥(せいけつ。四肢から末端に向かって冷えていくこと)、悪寒し、癲疾         の後倒れ、骨痛み、頭項悪しく、悪風  (脳卒中)にて、嘔吐し、目内の系、急         に痛む、を主どる。
     

 ≪甲乙経≫では、絡却以外は全て頭痛が記載されているが、医心方にある頭痛の記載は、
承光、通天、絡却と相違が見られる。

 そして、一行での身体的な陰陽としての太陽は、骨関節痛が多く、太陰は寒熱の症が見られたのに対して、二行はかなり煩雑になっている。

 簡単に考えると、正中線での太陽、(少陽、)陽明ははっきりとしているが、二行になると左右としての陰陽が交わり始めている為ではないだろうか?

 督脈は陽中の陽だが、中心を外れるに従って、少陽、陽明が入り混じっているのである。

 このように考えると丹波康頼は、気の偏在をかなり詳細にイメージできていた、しかも、かなり具体的に、又立体的にイメージできていたと、筆者は推測する。

 頭部二行の記載にそのことが現れていると感じるからである。。

 二行で注目すべきは、目と鼻への関連だが、この辺りの考察は≪甲乙経≫の記載と類似した部分である為、割愛します。

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