ブログ「鍼道 一の会」

 臓象とは

 臓象とは

東洋医学における五臓の概念は、いわゆる「臓器」とは全く別のものであり、「気」を象徴的に描いたものであり、実体の無いものであるという点を、まずはしっかりと認識する必要があります。

黄帝内経を読み解き臨床に応用するには、すでに易学陰陽学説五行学説を知っておく必要があるのですが、すでに公開しているものに順次書き加えて参りたいと思います。

ところで東洋医学の五臓の概念とは、いったい何であるのか。

ここでは、陰陽五行論で著された臓象の意味する所に限って簡述します。

 1.五行とは
五行とは、四時(春夏秋冬)の時間的変化に伴って大地に現われる事象を、五つの要素(木火土金水)に分類し体系づけたものです。

従って五行論は固定的に捉えるのではなく、変化を具体的な現象で表現したものとして捉えることが目的であるため、五行論的法則性に準じながらも拘泥することなく、その時々の状況に応じて自由自在に使いこなすことが要点となります。

2.気象と臓象
「気象」とは、視覚では直接捉えることのできない「気」が、具体的な象(かたち=形)に現れることを指しています。

例えば目には見えず感じることしかできない天の六気(風寒暑湿乾燥火)は、具体的に雲、雨、雪、雷など、目にすることのできる現象を生じます。これらを気象と称します。

私たちは具体的に生じた雲の動きや形状、肌で感じる風の強さや気温変化から、傘が必要であるか否かなど、天の気の動きや変兆を事前に察知して対処します。

これを医学に応用し、身体が表現する様々な現象と術者の五感を通じて得られる気の変兆(臓腑の寒熱・虚実)を捉え、鍼を施します。

また臓とは、精気を堅く漏れないようにしまい込んでいる気を象った概念(臓気=収斂・固摂)です。

そして易学・陰陽論・五行論を用いて天人相応させ、自然界と相関しながら生命が変化する具体的な象(かたち)を通じて、正気の状態を認識するために創造されたものが『臓象学』です。

3.解剖学的臓器との違い
<黄帝内経・霊枢>の『腸胃篇』や『平人絶穀篇』では、胃腸の長さや臓器の重さなどを細かく記載していることから、当時すでに解剖が行われていたことが窺えます。

ところがその後、解剖学が展開されず発展の形跡がないのは、すでに生命が存在していない死体をいくら詳しく調べても、そこに生命の本質を見いだせないと古人が悟ったからではないでしょうか。

古人のまなざしは、「生命の本質」そのものを直観的に捉えることにこそ、その意識が注がれたと考えています。

江戸時代末期に、杉田玄白らが解剖を行い『解体新書』を著しています。当時の医師たちは、実際に腑分け(解剖)した際、この内景図・臓象図とあまりに違うことに驚いたことが知られています。

このことは当時から、この内景図・臓象図本来の意味を深く理解する医師がいかに少数であったかということを示しているのではないでしょうか。

4.内景図・臓象図とは
本来、気一元である人間の存在を、五行論を用いて5つに分類して認識したものが五臓概念です。

その五臓の機能をイメージしやすいように、写実的解剖図を参考に、臓象として書き換えたものが、現在伝わっているあの奇妙な形をした内景図・臓象図です。

同様に、実写的な解剖図とは異なった東洋医学の内景図・臓象図は、その位置と形を通じて表現されているものにこそ、大きな意味があり鍼灸医学の礎とすべき要があります。

従って五臓は、あくまで人体の生命現象を五つの要素に分類して認識したものなので、拙ブログにおいて、イメージとして五臓概念が心に浮かべば幸いです。

生命とは、すなわち「神」であり「気一元」です。「気」が流れる温かい身体こそ、生命の本質が具現化したものと考え、論理を構築したのが東洋医学です。

われわれ鍼灸師は、鍼と灸を道具として「気」を動かし、導き、気の偏在(表裏・寒熱・虚実)を整えるのです。
そして生命本来の輝きを取り戻し病を治し、生来の楽しみに導くのが東洋医学本来の目です。

さて、これから順次「鍼道 一の会」六臓六腑の臓象を公開して参りたいと思います。

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