本章は題名の通り、薬を服用する際の限度について記載しています。
引用は千金方、養生要集、本草経、抱朴子、蒋季琬(唐本草の撰者の一人)、葛氏方、
刪繁論(さんはんろん)です。
まずは、扁鵲の言葉から
人は肉体を依り代として生きており、肉体の調和した気を乱すのが病である。
身体を安定させる根本は食物の助けを借りることであり、どのような食事がよいかを知らない者
は、生命を存続させることはできず、薬の禁忌を知らない者は病を根本的に除くことはできない。
この二事は人間の本能に求める事であり、軽んじて学ばないなら誠に悲しむべき事である
又、次のようにも書いている。
医たる者は、先ずその病の根源を見通し、その犯すところを知る必要がある。それから、まず食事でこれを治療し、癒えないときに初めて治療する。
薬の性質は強く激しいもので、兵を用いるようなもので妄りに発動すべきものではない。
張仲景は次のように書いている。
諸病を治そうとするなら、まず湯薬で五臓六腑を洗い、諸脈を開き通じさせ、陰陽二気を治め導き、身体の中を祓い、邪気を除き、枯れ朽ちたところを潤し、皮膚を悦ばせ、気力を増すことである。
防病の根本は食生活、治療をするのは二の次ですと断定しています。
その他に、散薬、丸薬、湯薬の違い、用いるべき特徴的な季節、薬の服用の仕方や時間等が書かれています。便利だから、大量生産が可能だからとかいう理由は一つもありません。
日頃気をつけていればかなりの病が防げますが、どうしても心身の状態、季節への適応などで病になってしまったら、そこで初めて治療をする。
治療の際にも状況によって行う事は異なり、基準はあっても個人個人で基準より少なかったり、多かったりして当然という論調です。
下剤使用時の注意や年齢による補泻の使い分けの基準、服用時の食生活の注意など、
いざというとき、しっかりと薬効を出す為には様々な注意と節度が大切だと言う事を説いているのが、服薬節度第三です。
コメントを残す