【三二二条】
少陰病、六七日、腹脹、不大便者、急下之、宜大承氣湯。二十一(用前第十九方)。
少陰病、六、七日、腹脹(は)りて、大便せざる者は、急に之を下す、大承氣湯に宜し。二十一(前の第十九方を用う)。
少陰病になって6・7日経過しているのですから、320・321条よりは、経過が緩慢ですね。
しかし、お腹が脹ってきて便秘しているようなら、これもまた急いで下しなさいとあります。
この場合も、やはり口乾・咽燥があると考えるべきでしょうね。
脈も、少陰病の脈微細から滑実もしくは沈遅となるのでしょう。
これ、脈微細からの変化を追いかけて、腹部の兆候と口乾・咽燥など、他の所見から病理変化を捉えるしかないのかなと考えています。
症例としては、なかなか判断の難しいところとなると思いますし、実際、脉微細のものが滑実・沈遅となった場合、承気湯類を用いるには勇気が要るだろうと思います。
【三二三条】
少陰病、脉沈者、急温之、宜四逆湯。方二十二。
少陰病、脉沈の者は、急ぎ之を温む。四逆湯に宜し。方二十二。
少陰病で、脈微細で急に脈が沈んでさらに触れにくくなった。
これだけしか記されていないのですから、完穀下痢や四肢厥冷など余証が無くても、この脈の変化から危急の状態だと察知しなさいということかもしれません。
しかも、「四逆湯に宜し」ですから、よく考えてみなさいという意図も感じます。
場合によっては、通脈四逆湯や麻黄附子細辛湯、真武湯なども考え合わせて判断しなさいと言う事なのでしょう。
少陰病篇の終わりになってくると、大承気湯などが登場して、陰陽・虚実変化の差が大きくなってます。
病理変化に追いついて行けるだけの、よほどしっかりとした認識力が試されますね。
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