【二三〇条】
陽明病、脇下鞕滿、不大便而嘔、舌上白胎者、可與小柴胡湯。上焦得通、津液得下、胃氣因和、身濈然汗出而解。十七(用上方)。
陽明病、脇下鞕滿(こうまん)し、大便せずして嘔し、舌上白胎(はくたい)の者は、小柴胡湯を與うべし。上焦通ずるを得、津液下るを得、胃氣因(よ)りて和し、身濈然(しゅうぜん)として汗出で解す。十七(上方を用う)。
陽明病とありますので、「胃家実」です。
脇の下が鞕満しているのですから、章門を中心とした脇腹にかけて強い緊張があるのでしょう。
小柴胡湯証は、胸脇苦満ですので、これより広い範囲の緊張です。
そして舌上に白苔ですから、まだ熱化する前の湿濁が存在していることを示しています。
ここまで来ると、陽明と少陽の合病・併病ですね。
このような場合、柴胡剤で少陽枢機・膈を開くと、中焦と上焦が通じて津液も降りるようになり、胃気も和すのでじっとりとした発汗がみられたのち、病が解けるとあります。
場合によっては、下痢症状が現れるかもしれませんね。
元々、素体としてどのような邪毒があり、膈が開くことでどこにどのような形で病毒が排泄されるかと言う事の理解で良いと思います。
231条と232条は原文と読み下し文のみの掲載です。
【二三一条】
陽明中風、脉弦浮大、而短氣、腹都滿、脇下及心痛、久按之氣不通、鼻乾、不得汗、嗜臥、一身及目悉黄、小便難、有潮熱、時時噦、耳前後腫、刺之小差、外不解。病過十日、脉續浮者、與小柴胡湯。十八(用上方)。
陽明中風、脉弦浮大にして短氣し、腹都(すべ)て滿ち、脇下及び心痛み、久しく之を按ずれども氣通ぜず、鼻乾き、汗を得ず、嗜臥(しが)し、一身及び目悉(ことごと)く黄ばみ、小便難(がた)く、潮熱有り、時時噦(えっ)し、耳の前後腫れ、之を刺せば小しく差(い)ゆれども、外解せず。病十日を過ぎ、脉續いて浮の者は、小柴胡湯を與う。十八(上方を用う)。
【二三二条】
脉但浮、無餘證者、與麻黄湯。若不尿、腹滿加噦者、不治。麻黄湯。方十九。
脉但(た)だ浮にして、餘證(よしょう)無き者は、麻黄湯を與う。若し尿せず、腹滿ちて噦(えつ)を加うる者は、治せず。麻黄湯。方十九。
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