【一七五条】
風濕相搏、骨節疼煩、掣痛不得屈伸、近之則痛劇、汗出短氣、小便不利、惡風不欲去衣、或身微腫者、甘草附子湯主之。方三十七。
風濕(ふうしつ)相い搏(う)ち、骨節疼煩(こっせつとうはん)し、掣痛(せいつう)して屈伸することを得ず、之に近づけば則ち痛み劇しく、汗出でて短氣し、小便不利、惡風して衣を去るを欲せず、或は身(み)微腫(びしゅ)する者は、甘草附子湯(かんぞうぶしとう)之を主る。方三十七。
前条に引き続き風湿の邪に冒された条文です。
方剤名も甘草とありますし、 さっと条文に目を通すだけで、急迫した症状であることが分かります。
条文には、風湿とありますが、辛温の桂枝と附子が配されていますので、寒邪も存在しているはずです。
簡単に意訳します。
関節が熱を持って疼き痛み、引きつるような痛みで屈伸もできない。さらにちょっと触れただけでも激しく痛み、汗が出て呼吸もひっ迫し、小便は不利。
悪風がして衣服を脱ごうともしない。
場合によっては、少しむくみも出ているのは、甘草附子湯証である。
なかなか厳しい状況が見えてきますよね。
<金匱要略・痙湿暍病> P266 25条に、桂枝附子湯・白朮附子湯に続いて記載されています。
風<寒<湿 の三邪が入り混じった痹証として認識して良いと思います。
現代でしたら、関節リューマチ症などに相当するでしょうね。
<素問・痺論>にも、痹証について色んなタイプについて触れられています。
筆者は、痹証には特別な思い入れがあります。
なかなか難しいケースが多いのですが、気滞表証の概念が手に入ってから、比較的楽に治癒に向かってもらえるようになりました。
日本の気候風土からして、湿邪への対応手段は十分こなれた認識と術を持ち得ていることが重要だと考えています。
また実際の治療においては、メンタル面も考慮した太極的な認識による鍼が有効です。
〔甘草附子湯方〕
甘草(二兩炙) 附子(二枚炮去皮破) 白朮(二兩) 桂枝(四兩去皮)
右四味、以水六升、煮取三升、去滓、温服一升、日三服。初服得微汗則解。能食、汗止復煩者、將服五合。恐一升多者、宜服六七合為始。
甘草(二兩、炙る) 附子(二枚、炮じ、皮を去りて破る) 白朮(二兩) 桂枝(四兩、皮を去る)
右四味、水六升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服し、日に三服す。初め服して微汗を得れば則ち解(げ)す。能(よ)く食し、汗止まり、復た煩する者は、
將(まさ)に五合を服すべし。一升の多きを恐るる者は、宜しく服するに六、七合を始めと為す。
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