【一五五条】
心下痞、而復惡寒、汗出者、附子瀉心湯主之。方十八。
心下痞して復た惡寒し、汗出づる者は、附子瀉心湯(ぶししゃしんとう)之を主る。方十八。
【一五六条】
本以下之、故心下痞、與瀉心湯。痞不解、其人渴而口燥煩、小便不利者、五苓散主之。十九(用前第七證方)。一方云、忍之一日乃愈。
本(もと)之を下すを以ての故に、心下痞す。瀉心湯(しゃしんとう)を與うれども、痞解(げ)せず、其の人渴して口燥(かわ)き煩し、小便不利する者は、五苓散之を主る。十九(前の第七證方を用う)。一方に云(い)う、之を忍ぶこと一日にして乃ち愈ゆと。
155条は、153条の続きとして読むのが宜しいと思います。
153条の「太陽病、醫發汗、遂發熱、惡寒。因復下之、心下痞。」を冒頭につなげてみてください。
太陽病に罹って、医師が発汗・下法を用いた後に現れた心下痞の腹証です。
その後、155条では、再び悪寒と自汗が現れたと記されています。
方剤を見ると、大黄黄連湯に黄芩と炮附子が加えられています。
この悪寒と自汗は、表証が残ったものではなく、下焦が水で塞がれたことによって、陽気が条達できないためだと解釈することが出来ます。
加えて、黄芩が配されていることから、心下に湿熱が塞がっていることも分かります。
附子を単に腎陽の虚を補うと考えていては、大黄を用いることがためらわれますよね。
ですから、附子瀉心湯を服用すると、便通だけでなく小便利も得られることが分かります。
〔附子瀉心湯方〕
大黄(二兩) 黄連(一兩) 黄芩(一兩) 附子(一枚炮去皮破別煮取汁)
右四味、切三味、以麻沸湯二升漬之、須臾絞去滓、内附子汁、分温再服。
大黄(二兩) 黄連(一兩) 黄芩(一兩) 附子(一枚、炮じて皮を去り、破り別ち、煮て汁を取る)
右四味、三味に切り、麻沸湯(まふつとう)二升を以て之を漬(した)し、須臾(しゅゆ)にして絞り滓を去り、附子汁を内(い)れ、分かち温め再服す。
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