【一四六】
傷寒六、七日、發熱、微惡寒、支節煩疼、微嘔、心下支結、外證未去者、柴胡桂枝湯主之。方十二。
傷寒六、七日、發熱、微惡寒(びおかん)、支節(しせつ)煩疼(はんとう)、微嘔(びおう)、心下支結(しけつ)し、外證未だ去らざる者は、柴胡桂枝湯之を主る。方十二。
さっと目を通すと、条文も配剤も何となく微妙な感じですね。
傷寒に罹って6・7日が経過したのですから、他経に伝変してもいい時期です。
ところが発熱して微悪寒、四肢の関節が煩熱して疼くことから、まだ表証が存在していると分かります。
そして微嘔です。これで少陽との併病の可能性が出てきます。
そして心下支結ですから、心下から胃脘部位につかえがあり少し緊張がある状態です。
これらの事から、胸脇苦満の軽症と判断することが出来ます。
方剤を見ると桂枝湯合小柴胡湯であることが分かります。
イメージとしては、少陽枢機を和して膈を通じさせ、桂枝湯で中焦の気を上焦に挙げて発するという感じです。
<金匱要略・腹満寒疝宿食病> P303 22条
治心腹卒中痛者
上記の症候に柴胡桂枝湯を用いていますので、現代医学的には胆のう炎や膵炎、気滞による胃潰瘍など、応用範囲の広い方剤として雑病にも用いられているようです。
桂枝湯合小柴胡湯ですから、少陽枢機を開き、中焦の気を体表に持って行き、発する方剤と薬能を覚えておけば良いと思います。
〔柴胡桂枝湯方〕
桂枝(去皮) 黄芩(一兩半) 人參(一兩半) 甘草(一兩炙) 半夏(二合半洗) 芍藥(一兩半) 大棗(六枚擘) 生薑(一兩半切) 柴胡(四兩)
右九味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云人參湯、作如桂枝法、加半夏、柴胡、黄芩、復如柴胡法。今用人參作半劑。
桂枝(皮を去り) 黄芩(一兩半) 人參(一兩半) 甘草(一兩炙る) 半夏(二合半洗う) 芍藥(一兩半) 大棗(六枚擘く) 生薑(一兩半切る) 柴胡(四兩)
右九味、水七升以て、煮て三升取り、滓を去り、一升を温服す。本(もと)云う人參湯、作(つく)ること桂枝の法の如く、半夏、柴胡、黄芩を加え、復た柴胡の法の如く。今、人參を用い半劑(はんざい)と作(な)すと。
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