【一一七条】
燒鍼令其汗、鍼處被寒、核起而赤者、必發奔豚。
氣從少腹上衝心者、灸其核上各一壮、與桂枝加桂湯、更加桂二兩也。方六十一。
燒鍼(しょうしん)其れをして汗せしめ、鍼する處(ところ)寒を被(こうむ)り、核起こりて赤き者は、必ず奔豚(ほんとん)を發す。
氣少腹從(よ)り上りて心を衝く者は、其の核上(かくじょう)に各一壮を灸し、桂枝加桂湯を與(あた)う、更に桂二兩を加うる也。方六十一。
今回は、焼鍼という手段で発汗させた状態です。
焼鍼がどのようなものであったのか。
現代に伝わっている火鍼であれば、鍼尖を焼いて速刺速抜する方法です。
主に癰瘍や痹痛などに用いられているようです。
仮にこのような刺法を行った後、大いに発汗したと同時に、鍼跡に寒邪を受け、しかも赤く盛り上がったかのようになると、必ず奔豚が起きると述べています。
そして少腹から心に衝き上がって来るものは、鍼跡に灸を各一壮施し、桂枝湯に桂枝二両を加えた桂枝加桂湯を与えると治まるといった内容です。
桂枝、上衝を主冶するのですから、桂枝を厚くした訳ですね。
もし灸をしないのであれば、茯苓桂枝甘草大棗湯でも良いのでしょう。
奔豚に関しては、P68 65条 茯苓桂枝甘草大棗湯で説明していますので、そちらをご覧頂ければ」と思います。
〔桂枝加桂湯方〕
桂枝(五兩去皮) 芍藥(三兩) 生薑(三兩切) 甘草(二兩炙) 大棗(十二枚擘)
右五味、以水七升、煮取三升、去滓、温服一升。本云桂枝湯、今加桂滿五兩。所以加桂者、以能泄奔豚氣也。
桂枝(五兩皮を去る) 芍藥(三兩) 生薑(三兩切る) 甘草(二兩炙る) 大棗(十二枚擘く)
右五味、水七升を以て、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。本(もと)云う桂枝湯に今桂(けい)を加えて滿五兩とす。桂を加うる所以(ゆえん)の者は、以て能(よ)く奔豚の氣を泄(も)らすなり。
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