薬用人参について調べてみると、なかなかこれが厄介だと気が付いたのはここ最近のことです。
一口に人参といっても、竹節人参、御種人参、田七人参と、筆者が知りうるだけでも三種類あります。
しかも修治(加工)も様々あり、どのように区別して用いていたのか迷うところであります。
しかし、もっとも興味があるのは「傷寒論」に記載されている人参がどの種類のもので、どのような薬能を想定して方剤を構成しているのかという点です。
しかも古来、キキョウ科のヒカゲノツルニンジンである党参は、古くは人参と区別されていない時代もあったようです。
このあたりを追及すると、ややこしくなってしまいますので、これらの点は、ひとまず置いておいて、先ずは中医薬学で扱っているところから見て行くとします。
<中薬学>神戸中医研究会編著では、人参は補益・補気薬に分類されていまして、オタネニンジンの根として紹介されています。
気味は甘微苦、微温です。
効能を列記してみます。
補気固脱
補脾気
益肺
生津止渇
安神益智
その他、血虚に対して補血薬と用いて益気生血、陽虚に対して補陽薬と用いて益気壮陽すると記されています。
いまいちピンときません。
総じて、方剤中の人参は、主薬というより佐薬的な役割なのでしょうか。
そんな中で、独参湯という人参一味を濃く煎じた方剤があります。
<中薬学>によりますと、
「大病・久病・大出血・激しい吐瀉などで元気が虚衰して生じるショック状態で脈が微を呈する時に、単味を大量に濃煎して服用する」とあります。
いわば失神・虚脱状態の気つけ薬といった感じでしょうか。
単味ですから、即効的、シャープにその効能が現れる訳ですから、人参によって人体の気がどのように動くのだろうと、考えてみたいと思います。
つづきます・・・
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