ブログ「鍼道 一の会」

補瀉論(2)虚実の字義

 前回ブログ「補瀉論(1)補瀉の字義」では、補寫の目的は『正気の回復』を図るためと述べました。

 今回の稿では、補瀉に次いで「虚実」の概念を書いてみます。

 補瀉手技に関しては、すでにたくさんの手法が公開されています。

 ですから補寫の概念さえしっかり持っていれば、臨床に照らし合わせながらご自身にしっくりとくる手技を用いればよいと思います。

 例によって虚実の字義から始めます。

 虚は、墟のもとの意味で、建物・市街など荒れはてた跡の意味。

 現存しないもの「むなしい」の意味となり、中身が無いので「うそ、いつわり」という意味に使われるようになったそうです。

 廃墟には、誰もいないですよね。

 廃墟を活性化して人が安心して暮らせる街にするには、どうしたらいいのだろうかといったイメージです。

 

 次に実です。

 実の元の字は實です。

 そのうかんむりは、祖先の霊を祭る廟の屋根の形。

 貫は貝の貨幣をつらぬいて綴り合わせたもの。

 銭さしに通した貝貨を廟に供える形が實で、豊かな供え物を現しているのだそうです。

 それで「みちる」の意味となり、中身が十分にみちた状態の意味を現すようになったそうです。

 それなら、何も問題はないのでは?と思われるのですが、豊かな供え物ではなくて邪気だとしたら。

 もしくは、供え物がいつまでもそこに置かれて、入れ替わらないとしたらどうでしょう。

 腐敗して大変なことになりますよね。

 そんなイメージで見ると、廃墟に人が戻って活性化する方法を補法。

 置かれたままの供え物を移す方法が、瀉法ってイメージしたのですが、いかがでしょう。

                           つづく・・・

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