↑ 前回の続きです。
前回までは、『瞑眩(めんげん)』とよばれる好転反応について書いてきました。
今回は、いわゆる風邪を例にして、どのように瞑眩を起こさせて治癒に導くのかを話してみます。
風邪を引いて高熱の出る方は、一般的には邪気に対する戦闘能力の高い方です。
元気なこどもさんほど、高い熱がでるのはこのためです。
この場合、例えば39度を超えるような高熱でも、『悪寒のある場合に限って』さらに興奮させて熱を助長させます。
ここで注意してほしいのは、『悪寒のある場合に限って』ということです。
くれぐれも間違えないでくださいね。ここからのケースは、『悪寒のある場合』ですから。くどいようですが・・・
このような場合は、麻黄系の薬剤を用います。
ちなみに麻黄は、覚せい剤の原料にもなることで知られています。ドーピング検査にも引っかかる代物です。
みなさま、よくご存じの葛根湯にも含まれています。
この麻黄剤を用いて、さらに興奮させて発熱を促し、最後に発汗に導いて解熱、劇的な治癒に至らしめます。
びっくりしますよね、瞑眩(めんげん)を起こさせるために高熱出てるのに、さらに発熱を促すのですから。
ここでは、専門的な見識に基づいた確かな診立てが重要です。
瞑眩が起きた後、風邪を引く前に体内にたむろしていた様々な邪気は、この時に汗と一緒に発せられるので台風一過のようなことが起きます。
このように、風邪はうまく対処すれば、即効性がありますし、『災い転じて福となす』ことも十分可能なのです。
いわゆるインフルエンザも、悪寒のあるもの、無いものがありますが、東洋医学的にはウイルスが何であろうが生体の現す症状から、正気と邪気の拮抗状態を診て治癒に導くんですね。
ちなみに野口整体で有名な、野口晴哉はその著書「風邪の効用」に同様のことを説いています。
大変優れた著書ではあるのですが、邪気の判別が出来ていないので、読んでて少し危険だなと思う箇所もありました。
『悪寒』とは真逆の『悪熱』の場合もあるからです。
風邪で高熱が出た場合、もちろん鍼で対応できます。
鍼も漢方も、ちゃんと診立てして用いると、ずばり即効性があります。
つづく
コメントを残す