今年度、第3回目の『一の会・東洋 臨床 医学講座』について、スタッフ大上が概要をレポートいたします。
脈診の指導をする金澤先生 |
1限目:「易学」
『易学と東洋医学の相似・共通点』
~運動観・整体観・平衡観~
永松副代表
易有太極 是生兩儀 兩儀生四象 四象生八卦 ――― |
物事には必ず始めと終わりがあり、渾沌(≒無)から始まったものは、様々な発展段階を経て、また必ず渾沌(≒無)へと帰す。
大宇宙(マクロコスモス)から、小宇宙(ミクロコスモス)である人体の、細胞一つ一つに至るまで貫かれている法則です。
今回の易学講義では、運動観・整体観・平衡観という3つの観点から、「易」と「東洋医学」の共通点についてお話がありました。
また、「黄帝内経」をはじめとする古典を読み解く際に必要となる、「十干(天干)」「十二支(地支)」を用いて、六十年周期の計算を実際に行ってみました。
途中、計算が合わなくなるというハプニング(?)に見舞われました。
2限目:生薬から学ぶ有名病証
中医学に物申す |
前回(5/24)の講義において取り上げられた「肝脾不和証」について、さらに詳しい解説が行われました。
・「肝脾不和証」とはどのような病態であるか、その虚実のバリエーション
・肝脾不和を引き起こす前段階ではどのような病態がおこっているか~さらにそれが進行するとどうなっていくと予測されるのか
・それぞれの段階の病態に対して用いられる、方剤[=特定の「証」に対して用いられる漢方生薬の組合せ]の目標とするところ
上記について、方剤を構成する生薬の持つ性質を交えて解説していただきました。
まず太極を診る |
常以不病調病人.醫不病.故爲病人平息.以調之爲法.
(常に病まざるを以て病人を調う。医は病まず。故に病人の為に息を平らかにし、以て之を調うを法と爲す。)
病人を診るにあたり、治療者たるものはどうあるべきか。
自分自身をよく観察し、自分の中の不易を知る。
人間をどのようにとらえるか、対象(病人)は何を表現しているのか、最終的に「病を治す」とはどういうことか。
続いて、今回のテーマである『脉診』について
・脉診の太極・陰陽
・脉の表現するものの要点
・胃の気をうかがうの法
等について説明の後、実際に触れていきます。
これまでの講座で行いました「望診」「原穴診」も、繰り返し繰り返し行います。
望診 |
4限目:時事講義
整体治療にも関連しています |
陰陽論においては、左=陽 右=陰 とされています。
中国の古典には、「聖人(君子・天子)は南面して」云々・・という記述が見られます。
南を向いて立つときに、太陽が昇る東(=左側)を陽とし、日が沈む西(=右側)を陰としたことから始まったと言われています。
今回は「左上昇・右下降」について、
漢字の世界、周易・素問・霊枢といった古典、現代科学的視点、武道・整体の視点などから、永松先生の臨床経験も交えて検証していただきました。
人体の気においても、左側は上昇しやすく、右側はそれと相反する動きをするという現象が見られます。
治療家の皆さん、是非ご自身の身体で検証し、臨床に役立てていきましょう。
左螺旋で昇龍 |
※今回は都合上、カリキュラムの一部を割愛させていただきました。
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