服薬中毒方では、葛氏方をメインに、集験方、医門方、本草経から引用されています。
様々な誤治による症状を改善する為の処方が書かれています。
冒頭の重態の時の処方である、東壁土をはぎ取って、水三升で飲むという様なものは、
現在では非科学的であり、まじないの類という方もおられるかもしれませんが、
東洋医学を真から学んでいれば何を言わんとしているかは推敲できます。
しかしながら、現実的に東壁土等は入手困難ですので、このようなものは一応割愛して紹介します。
誤治による重態の時の処方
ここでも当然の事ながら、症状によって上記のどれが一番相応しいかはその時々で、検討が必要ですね。
服薬の決まりを守らずに腹中が苦しくなった人の為の処方
生の葛根の汁を飲む。
生がなければ、乾いた葛根を搗いて水で五合を飲む。
吐いた後でも吐き気が止まらないときの処方
豚の脂を横一寸、縦三寸くらい使って煮て飲む。
薬に巴豆が含まれていて、下痢が止まらないときに治す処方
解毒剤は貯蔵しにくい為、一種だけで多くの解毒作用を発揮する処方
甘草を細かく砕いて濃く煮て飲む、蜜を加えると更に良い。
桂を煮て、その汁を飲み葱、葈の汁も飲む。
大豆を煮て、その汁を飲む、大豆がなければ豉も良い。
注意点として、解毒薬の場合、たとえ急いでいても、熱いものを飲むと気の周りが早いので急激な変化を起こす為、さまして飲む事を挙げています。
処方中に大黄や芒硝、檳榔人などが含まれていて、下痢が止まらない場合、冷えた粥を半升食べれば直ぐに止まる。
巴豆、甘遂、牽牛子等が含まれていて、下痢する人は、黄蓮、大豆、薺苨(なずな)等の汁を煮て、冷やして飲めば直ぐに止まる。もし、下痢が止まっても、この汁を熱くして飲むと直ぐに又下痢が起こる。
等と書かれ、更に地漿についての説明、植物毎の中和植物などが記載されています。
以上、服薬中毒方にはこのように具体的な症状と対処法が書かれています。
何かを行う際に、どれだけリスクとその対処法を考えておくか、備えを示した篇だと思います。
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