今年度、第9回目の「一の会・東洋医学講座」について報告します。
2014年4月から始まった本講座。今回を含めあと2回を残すところとなり、講師陣からも受講生のみなさんからも、一段と気合いを感じさせていただきました。
以下、今回の講座の内容を簡単にご報告いたします。
1.中医学基礎 稲垣講師
『内因と不内外因について』
人体に病を起こしうる発病因子について分類し、前回講義された外因に続いて、他の発病因子の概要とそれぞれの特徴について解説されました。
古代中国とは食事内容や生活様式などが全く異なる現代において、基礎中医学をしっかりと踏まえた上で、どのように臨床に応用していくかの重要性を感じました。
2.四診理論 金澤講師
『神主学説』 および 『任・督・衝・帯脉について』
毎回、様々な臨床例を織り交ぜて繰り広げられる金澤ワールド。
今回の『神主学説』は、まさにその真骨頂といったところでしょうか。
心神の状態がすべてを表現する。我欲はあっていい、あるがままの自分を自覚することが大切。
金澤講師自身の話が例に出されると、所々で笑いが起こる一場面もありました。
さらに、任・督・衝脈を「一源三岐」とする王叔和の説に基づいた、生命の根源に深くかかわる壮大なスケールの理論が展開されました。
3.鍼灸師が読む傷寒論基礎 稲垣講師
『太陰病篇』
初学の方には難解と思われる傷寒論を、毎回、独自の切り口で切ってくださいます稲垣講師。
今回はその中でも難度が高いと思われる太陰病篇です。受講生の皆さん方におかれましては、お昼過ぎの時間帯ということもあり、眠気という「邪気との戦い」が始まっている方も見受けられます。
執筆者である私、大上も、かつて傷寒論に挑んだ経験がありますが、この太陰病篇あたりで落伍した記憶があります。
なぜ、太陰の病に桂枝湯の変法を使うのか、そのポイントがわかると傷寒論の魅力がさらに倍増します。私自身、今回の稲垣先生の解説をお聞きして、とてもスッキリしたと同時に面白いなと感じました。
とは言え、当時を生き抜いた方々にとっては、生と死のギリギリのところでの攻防が行われていたことを忘れてはいけません。そのことを再び、心に刻ませていただきました。
4.東洋身体学基礎 永松講師
毎回、講座の最後をゆったりと和ませてくださいます永松先生。
今回は気功のお話を織り交ぜながら、声のトーンと「五声」、加えて姿勢との関係について。
小グループでディスカッションしながらの、賑やかで和やかなひととき。傷寒論との戦いを終えて、すっかり生き生きと蘇った受講生の姿も。
「トーンや姿勢を変えると、顔の気色も変わったよ」
さすが、臨床家としてしっかりと診るべきポイントはおさえておられました。
次回の「一の会・東洋医学講座」は、3月1日(日)です。今年度最終回となります。
コメントを残す