ブログ「鍼道 一の会」

性を養う(4)用氣第四④

医心方

 用氣最後の項は、第三項と同様、気を修練する際の詳細について記載されています。

 ほとんどが寝室で、ゆったりとした状態で行うべきだと書かれています。

 そして、鼻から吸って口から吐く事を基本としており、鼻から吸って、気を口の中に満たないように何度も入れ、舌を動かした後に飲み込んでから吐くと言うのが一連の流れになっています。

 詳細な要領が書かれているので、一度は経験してみると良いですが、気を引いてからの回数などは人によって、その日の状態によって変化しますので、それぞれが自分の気が調う感覚を感じ取るようにする事が大切です。


 「気を取るときは、仰臥して両手脚を真っ直ぐにして体幹から少し離し、手を握り込む。

 目も口も閉じて鼻から気を引く。夜半から始めて八十一回飲み、日の出には三十六回飲

み、朝食の際に二十五回飲み、巳の刻には四十六回飲む。」

「初めて気を服す時は、気が粗ければ調わないので、調う量を測る為に、一引いて一咽一吐したり、一咽二吐したり、一咽三吐したりしてみる。

 もし気が少なければ三引いて一咽一吐、二咽一吐、三咽一吐と気を徐々に増やす。

 そうして徐々に増やして五引いて一咽一吐、二咽一吐、三咽一吐する。

 ゆっくり安西にできる状態であれば、七引いて一咽一吐、二咽一吐、三咽一吐まで行う。

 こうして気が調う一番良い状態を見極めるのである。」

 千金方には次のように書いている

 「調氣の法によって万病を治す事ができ、効果は大病を患って眉髪が抜け落ちても、眉髪が生えてくるくらいである。

 しかし、調氣の法を行うにも時間が決まっており、夜半の後から日中の前までは、気が生まれる時間なので調氣の法を行う事で効果がある。

 しかし、日中の後から夜半の前までは、気が死んでいる時間なので調氣の法を行っても効果がない。云々」
 上文は、衛気の巡る時間と営気の巡る時間、又子の刻(23時〜)から巳の刻(〜11時)の間を生気とし、午の刻(11時〜)から亥の刻(〜23時)を死気としている考え方が応用されています。

 これは、自然治癒力が大きく働く時間を生気としていると考えると、陽に上がった陽気が転換し、陰気となって陰に降り、腎にてその陰気が陽に転換されている時間だと感じています。

原文及び書き下し文
 又云、取氣時僵臥直両手脚握固両脚相去両手各去身五寸閉目閉口鼻中引氣從夜半初服九九八十一咽、鶏鳴八八六十四咽、平旦七七四十九咽、日出六六三十六咽、食時五五二十五咽、禺中四四十六咽。
 又云う、気を取る時は僵臥して両手脚を直にして握固す。両脚相去て、両手各々身を去つること五寸、目を閉ざし、口を閉ざして鼻中に気を引く。夜半より、初めに服するは九々八十一咽、日出に六々三十六咽、食の時に五々二十五咽、禺中に四々十六咽す。
 又云、初服氣、氣麁未調量能否應一引一咽一吐或二咽一吐或三咽一吐若氣小調三咽一咽一吐或二咽一吐或三咽一吐氣漸、漸調五引一咽一吐或二咽一吐或三咽一吐居平好也。又七引一咽一吐或二咽一吐至三咽一吐此氣極調善也。
 又云う、初めて気を服する時は、気麁にして未だ調わず。能否を量りて応に一引きて一咽一吐、或いは二咽一吐、或いは三咽一吐すべし。若し気小し調えば三引して一咽一吐、或いは二咽一吐、或いは三咽一吐す。気漸々として調えば五引して一咽一吐、或いは二咽一吐、或いは三咽一吐す。平好に居れば、又七引して一咽一吐、或いは二咽一吐して三咽一吐に至る。此れ気の調うこと善しきを極めたるなり。
 又云、凡服氣及符水、断穀皆須山居静処安心定意。不可令人卒有犯触而致驚忓者皆多失心初為此十日、二十日、疲極消痩頭眩足弱過此乃漸々勝耳。若兼之薬物則符乃虚惙也。例不欲多言笑、挙動。亡精費氣最為大忌。
 又云う、凡そ服気及び符水、断殺するには、皆須らく山居に静処し、心を安んじ意を定むべし。人をして卒に犯触あらしむべからず。而して驚忤を致す者は多く心を失う。初めて之を為して十日、二十日までは、疲れ極まり消痩して頭眩し足弱わる。此れを過ぐれば乃ち漸々として勝つのみ。若し之に兼ぬるに薬物を以てすれば則ち乃れ虚惙せざるなり。例ね、言笑、挙動の多ならんことを欲せざれ。精を亡い気を費やし、最も大忌と為す。
 千金方云、調氣方治万病大患百日即生眉髪也。凡調氣之法、夜半後、日中前、氣生得調。日中後、夜半前、氣死不得調。調氣時、仰臥床鋪厚軟、枕高下共身平。舒手展脚、両手握大拇指節、去身四、五寸、両脚相去四、五寸。引氣從鼻入、足即停止、力更取久。住氣閉、從口細々吐出。盡還從鼻細々引入。
 千金方に云う、調氣の方は万病を治し、大患も百日にて即ち眉髪を生ず。凡そ調氣の法たる、夜半の後、日中の前、気の生なるは調うことを得。日中の後、夜半の前、気の死なるは調うことを得ず。調氣の時は、床鋪の厚く軟かきに仰臥し、枕の高さを下げて身と共に平にす。手を舒べ脚を展べ、両手は大拇指の節を握り、身を去つること四、五寸、両脚は相去つること四、五寸。気を引くには鼻より入れて、足るれば即ち停止し、力あれば更に取ること久しうす。気を住めて閉ざし、口より細々として吐出す。尽くれば還た鼻より細々と引き入るるなり。
 又云、毎旦初起面向午展両手於膝上、心眼観氣入頂下達湧泉。旦々如此名曰送氣。常以鼻引氣口と氣[微吐不得開口]復欲得出氣少入氣多。
 又云う、毎旦初めて起きて向午に面し、両手を膝上に展べ、心眼もて気の頂に入り湧泉に下達するを観ぜよ。旦々此くの如くするを送気と曰く。常に鼻を以て気を引き、口より気を吐け。[微かに吐くには口を開くを得ざれ]復た出気を少なく、入気を多く得んとせよ。


 一の会


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