ブログ「鍼道 一の会」

太極拳 エピソード

 現在世界に広まっている太極拳のベースは楊式太極拳です。

 楊式太極拳は、陳長興から学んだ楊露禅が広めたものと言われていますが、半ば神格化している楊露禅の功夫の深さを示すエピソードを一つ紹介します。

 当時中国では鳥を飼うことが一種のステータスでしたが、楊露禅は籠に入れず、自分の掌に鳥を乗せていました。

 犬猫ならともかく、籠に入れてもない鳥が逃げないのはなぜかと不思議に思ってよく見ると……鳥が飛び立とうとする為には、羽の動きと同時に足で地面を蹴らなければいけません。

 しかし、楊露禅は、鳥が手を蹴ったときにその強さに合わせて力を抜くことで飛び立たせないようにしていたのです。

 実際に、練習して身体の使い方が分かってくると理解できることですが、生き物の身体には至る所にセンサーがあります。そのセンサーの感度を上げ、身体の緊張弛緩をコントロールすることで、一見不思議に見えるものも不思議でなく、自分でもできるかもと思えるようになります。

 鍼灸に置き換えてみると、患者さんへのタッチの圧力の違いで感じるもの、見えるものが変化します。同じ圧力をかける為には手先、指先に余分な力を入れないようにする必要があります。

 このように余り関係ないと思われるものの中にも自分の技を磨くヒントや道筋が隠されていますので、簡化24式の中から自分に今必要なもの、そして今は理解も体感もできなくてもできるようになるかもしれない事をコツコツと煉り上げていってください。

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