肺と大腸は表裏関係であることは、どなたも十分ご承知のことだと思います。
では、上焦に位置する肺の臓と、下焦に位置する大腸の腑の生理的整合性をどのように捉えるかが重要なことになって参ります。
しかも手の陽明大腸経は主に、上焦に流注していながら、募穴・天枢穴は帯脉ラインに位置し、腰陽関と大膓兪は下焦に位置しています。
天地相交ですね。
このことの意味を具体的に認識する着眼点が、治療家の力量になって参ります。
さて、謎解きのための資料を開示いたします。
【概要】
大腸は、表裏関係の肺と強調して、主に飲食物の残渣の排泄と肌表の機能調節を行う。
大腸の陰気は、手太陰肺経が①水分穴・天枢穴の中焦を流注していることから、主に脾胃との関係が深い。
大腸の陽気は、陽関穴・大膓兪が下焦に位置していることから、腎の陽気との関係が深いことが分かる。
大腸と小腸の臓象図が左右に曲がり折り重なっているさまは、②肝胆の左右の疏泄作用によって正常な機能が全うされることを連想させる。
【解説】
① 水分穴:文字通り腸胃の津液に関係する重要穴所であり、大腸と小腸の繋ぎ目である。すなわち大腸の上口であり、小腸の下口である。
下脘穴:胃の下口と小腸の上口であり、ここで足太陰は脾に属し、足陽明はこの部で脾を絡う。
難経腹診では、臍上の下脘穴から滑肉門穴、天枢穴あたりを脾に配当しているが、一定の根拠がある。
② 肝胆の疏泄作用によって正常な機能が全うされる:大腸募穴:天枢 帯脈ラインに属する。
帯脈主治穴:足臨泣 足少陽胆経・開合の枢。
【位置】
十六椎下、腰の陽関穴に付着している。
上焦と下焦、肺と腎の関係が深いことが分かる。
【形状と臓象】
<素問・霊蘭秘典論八>「大腸者.傳道之官.變化出焉.」
腑は、ひとつながりの管であり、口腔、食道、胃、小腸、大腸と飲食物が変化しながら伝わり降り、糟粕はその最終段階で魄門(肛門)を通じて排泄される。
これらのことは、足陽明胃経上に、大腸①下合穴=上巨虚、小腸下合穴=下巨虚が存在しているのが意味深長である。
「腎は二陰に開竅す」
大小便が正常に排泄されるためには、腎陽の気化作用と肺気の粛降作用、胃の和降作用が強調して働くことが重要であることを示している。
さらに大腸の魄門は外界との境界であり、非常に衛気と陽気の強いところであり、大小便が漏れ出ないように腎の固摂作用によって約束されている。
大腸は、臓象よりも経絡流注が重要で、「多血多気」の経絡流注から上下・表裏との関係が深いことが理解される。
大腸の腑は下焦に位置し、経絡は主に上焦に在ることから、天地陰陽の交流(相交)の在り様を理解することが出来る。
【解説】
下合穴:<素問・六節蔵象論九>
脾胃大腸小腸三焦膀胱者.倉廩之本.營之居也.名曰器.能化糟粕.轉味而入出者也.
脾胃大腸小腸三焦膀胱なる者は、倉廩の本、營の居なり。名づけて器と曰く。能く糟粕を化し、味を轉じて出入する者なり。
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