季節が逆戻りしたかのような寒さでした。
4/28日曜日、天気は晴朗なれど気温低し…といった気候の元、今年度初の臨床医学講座を開催いたしました。
2019年度も、臨床医学講座は、南森町の「大阪医療技術学園専門学校」の実技室をお借りして開催させていただきます。ありがたいことです。
午前中は、稻垣座長による弁証学総論。
「医学」というからには、理を以て筋道を立て、矛盾なく、
患者の表現する様々な症状に内在する 病の本質 を捉える 必要があります。
これを「証概念」と称します。
そのために、望・聞・問・切といった四診を駆使するのです。
そして治療を行う前に、治療者は治療後の患者の状態を予測し、心内に描けていなければなりません。
もし、自分の予測通りの結果が得られなかった場合、どこに診立て違いがあったかを明確にし、そこからさらに汲み出せるものに気づくためです。
また同時に、なぜここに1本の鍼を立てるのかを、矛盾なく整然と説明できる必要があります。
医学なのですから。
今回の臨床医学講座では、まず「八綱」の内、「表裏・寒熱・虚実」(=六変)の意義と使い方について講義。
鍼灸学校の学生さんから、「これは脾虚だ」とか「腎虚だ」など、いきなり臓腑弁証してるかのような発言を耳にすることがありますが、先ずはこの六変弁証を行うことが、基本中の基本になります。
その上で、必要であれば気血弁証、病邪弁証へと進み、さらに必要であればそれらを踏まえた上で臓腑弁証へと、微に入り細に入っていくのです。
会場参加の方々からの質問も相次ぎ、午前中は休憩なしで2時間半の講義となりました。
そして午後からは、実際の症例を用いて弁証の手順を解説の後、問診術実技に入ります。
まずは参加者それぞれの身体の状態を「一の会」カルテに記入していただき、相互にカルテを交換してスタート。
患者の訴えを、そのまま共感を持って聞くのは〝聞診〟に相当します。
(これはこれで、患者の治神に必要なことです)
一方、問診というのは、
証を得るため、患者から意図的に身体情報を引き出す術法です。
意図的に情報を引き出すには、基礎医学が十分に身についている必要がありますので、初学の方には大変難しく感じられたかもしれません。
インターネットなどで、アンケート形式でチェックを入れると、自動的に体質や証を割り出せるようなものがありますが、実際の臨床では用いることは出来ません。
本来の東洋医学は、そのようなあらかじめ想定された型に、人を当てはめるような医学ではないからです。
例えば、「疲れやすい」という一所見を得ても、
季節や天候、場所や場面、時間帯、またどのようなことをすれば「疲れやすい」のか?など。
様々な角度から意図的に問うことによって病の本質に迫ります。
ひとりひとりのオーダーメイド医学とでも言いましょうか、
自在に思考と技と術を扱える、それが東洋医学の世界です。
初学者の方には、基礎医学の重要性を再認識して頂けたのではないかと感じています。
参加者の皆様、お疲れさまでした。
次回の基礎医学講座は 5月12日、臨床医学講座は 5月26日です。
『鍼道 一の会』は、自由自在に気を扱える、プロの鍼灸治療家を目指す集団です。
ご興味のある方は是非、『場の気』を感じにお越しください。
『鍼道 一の会』についてのお問い合わせは、事務局 大上(おおがみ)まで
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