【三七五条】
下利後更煩、按之心下濡者、為虛煩也、宜梔子豉湯。方十六。
下利したる後更に煩し、之を按じて心下濡(なん)の者は、虛煩(きょはん)と為すなり、梔子豉湯に宜し。方十六。
374条で、大承気湯もしくは小承気湯を服用した後、実邪が除かれて現れた証候だと思います。
梔子豉湯に関しては、すでに述べています。
【三七六条】
嘔家有癰膿者、不可治嘔、膿盡自愈。
嘔家(おうか)、癰膿(ようのう)有る者は、嘔(おう)治すべからず。膿(のう)盡(つ)きれば自ら愈ゆ。
この条文は、解説いたしません。
【三七七条】
嘔而脉弱、小便復利、身有微熱、見厥者、難治、四逆湯主之。十七(用前第五方)。
嘔(おう)して脉弱、小便復た利し、身に微熱有りて、厥(けつ)を見(あら)わす者は、治し難(がた)し。四逆湯之を主る。十七(前の第五方を用う)。
四逆湯に関しては、これまで何度も触れてきましたので、解説いたしません。
【三七八条】
乾嘔吐涎沫、頭痛者、呉茱萸湯主之。方十八。
乾嘔(かんおう)し、涎沫(えんまつ)を吐し、頭痛する者は、呉茱萸湯之を主る。方十八。
呉茱萸湯もまた、以下のブログに詳述していますので、ご覧頂けたらと思います。
【三七九条】
嘔而發熱者、小柴胡湯主之。方十九。
嘔して發熱する者は、小柴胡湯之を主る。方十九。
ここでは、症候が簡述されていますが、前条の呉茱萸湯との鑑別のために並べていると考えています。
少陰病・小柴胡湯証も、これまで何度も登場していますので、小柴胡湯証の正証を押さえて老いて頂けたらと思います。
以下、380条と381条は、原文と読み下し文のみの掲載です。
これで「傷寒論」最終章とさせていただきます。
みなさま、これまでお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
【三八〇条】
傷寒、大吐、大下之、極虛、復極汗者、其人外氣怫鬱、復與之水以發其汗、因得噦。所以然者、胃中寒冷故也。
傷寒、大いに吐し、大いに之を下し、極めて虛し、復た極めて汗する者は、其の人外氣(がいき)怫鬱(ふつうつ)す。復た之に水を與(あた)え、以て其の汗を發し、因(よ)りて噦(えつ)を得る。。然(しか)る所以(ゆえん)の者は、胃中寒冷するが故なり。
【三八一条】
傷寒噦而腹滿、視其前後、知何部不利、利之即愈。
傷寒噦(えつ)して腹滿するは、其の前後を視て、何れの部の利せざるかを知り、之を利すれば即ち愈ゆ。
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