【二五六条】
陽明少陽合病、必下利。其脉不負者、為順也。負者、失也。互相剋賊、名為負也。脉滑而數者、有宿食也、當下之、宜大承氣湯。四十(用前第二方)。
陽明と少陽の合病、必ず下利す。其の脉負ならざる者は、順と為すなり。負の者は、失なり。互いに相(あ)い剋賊(こくぞく)するを、名づけて負と為すなり。
脉滑にして數の者は、宿食有るなり。當に之を下すべし。大承氣湯に宜し。四十(前の第二方を用う)。
この条文、後人の覚書が紛れ込んでいるように思えますので、一部を省いて以下の条文にしてみます。
陽明少陽合病、必下利。脉滑而數者、有宿食也、當下之、宜大承氣湯。
陽明と少陽の合病とありますが、嘔や胸脇苦満などが示されていないので、恐らくは間違いだろうと思います。
大承気湯証で、素体として大量の宿食があるのでしょう、下痢しているので遅脈ではなく数脈になっているのだと思います。熱痢ですね。
ですから、「宜し」とあるように、必ずしも大承気湯を用いなければならないということではなく、その時々の証に応じて調胃承気湯や小承気湯でも良いということになります。
下痢をしていても、承気湯類である場合があるので、承気湯類の他の症候を押さえておくことが必要ですね。
ここに至るまでに、承気湯類に触れられているところが多々ありますので、振り返りながら読み進めて頂けたらと思います。
257条から259条は、原文と読み下し文のみ掲載しています。
【二五七条】
病人無表裏證、發熱七八日、雖脉浮數者、可下之。假令已下、脉數不解、合熱則消穀喜飢、至六七日、不大便者、有瘀血、宜抵當湯。四十一(用前第二十四方)。
病人表裏の證無く、發熱すること七、八日。脉浮數と雖も、之を下すべし。假令(たと)えば已に下し、脉數解(げ)せず、熱を合すれば則ち消穀喜飢(きき)して、六、七日に至るも、大便せざる者は、瘀血有り。抵當湯に宜し。四十一(前の第二十四方を用う)。
【二五八条】
若脉數不解、而下不止、必協熱便膿血也。
若し脉數解せず、而(しか)も下(げ)止まざれば、必ず協熱(きょうねつ)して膿血(のうけつ)を便するなり。
【二五九条】
傷寒發汗已、身目為黄、所以然者、以寒濕(一作温)在裏不解故也。以為不可下也、於寒濕中求之。
傷寒、發汗已(おわ)り、身目(しんもく)黄を為す。然る所以の者は、寒濕(かんしつ)裏に在りて解せざるを以ての故なり。以て下すべからずと為すなり。寒濕中に於て之を求む。
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