【二二八条】
陽明病、下之、其外有熱、手足温、不結胸、心中懊憹、飢不能食、但頭汗出者、梔子豉湯主之。十五(用前第十一方)。
陽明病、之を下し、其の外に熱有り、手足温(おん)にして、結胸せず、心中懊憹(おうのう)し、飢えて食すること能わず、但だ頭汗出ずる者は、梔子豉湯(しししとう)之を主る。十五(前の第十一方を用う)。
陽明病で承気湯類を用いて正治の下法を用いた後に生じる証です。
潮熱や大熱(表熱)ではなく、外に熱があると言っているのですから単純な身熱で良いと思います。
手足は温とだけありますので、承気湯類のような発汗は見られないことが分かります。
そしてわざわざ「結胸せず」と記述されています。
表証であるのに、陽明病と見間違う症候に下法を用いてしまった場合、結胸証となってしまうのでした。
わざわざ「結胸せず」と述べているのは、水熱互結証の大陥胸湯にも心中懊憹が現れるため、その鑑別の必要性を説いたものと理解されます。
その心中懊憹、空腹は感じるのだけれど食べようと思っても食が進まない(胃気不和)、陽明病のように全身にぐっしょりと汗をかくのではなく、頭にだけ汗が出るのですから上逆症状と理解されます。
梔子豉湯に関しては、過去ブログに詳しく論じていますので、ここでは省きます。
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