四逆湯と白虎湯に現れる口渇と腹満について、腹証奇覧翼の記載を手掛かりにして鑑別点を探ってみます。
下図は陽明経証、白虎湯証の腹診図です。
また下図は少陰病・四逆湯証の腹満です。
腹証奇覧では、四逆湯証の腹満は、しまりがなくて熟した瓜を按すようであり、拘急が見られる場合であっても腹皮に力は無く、腹底にすじばりががあって、脹滿していて無力であると述べています。
それに比べて、白虎湯証の胸腹の肌膚は、熱灰を袋の外からなでるようだと言います。
四逆湯証と白虎湯証は、手掌に伝わってくる熱感と腹部の有力・無力で噛み分けることを言っています。
また他の所見での白虎湯と四逆湯の鑑別は、白虎湯は目に赤脉を生じ、舌苔はあるが歯茎まで乾燥して潤いが無く、すこぶる口渇があって病人に何となく勢い強く見えるとあります。
さらに口渇の鑑別に関しては、基本的には冷飲・熱飲のどちらを好むかであると述べながら、これも一定しないと述べられています。
白虎湯証の場合、水を飲ませるとすぐに額や目に潤いが現れるとありますので、本当にカラカラに燥いていることが分かります。
四逆湯証に冷水を飲ませると、舌がヒリヒリとした感じがして寒を得たかのように手足に振るえを生じ、触れると医師の手にもたれるようで、無力であるとあります。
ところが白虎湯証でも、飲水後に震えの生じる場合があり、この場合は拘急して自分の意思で手足が動かせなくなるとあります。
陰陽が交わらず、反って熱結がひどくなるためでしょうか。
なんか、かなり複雑です。
このようなことがどのような病理で生じるのか、もう少し深読みしたいところですが、煩雑になるばかりなので今後の課題として記憶するにとどめたいと思います。
四逆湯証も白虎湯証も、ともに非常に高い熱が現れる場合があるので、ここは注意して真仮を見極める必要がありますね。
〔白虎湯方〕
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 粳米(六合)
右四味、以水一斗、煮米熟、湯成、去滓、一升温服、日三服。
知母(六兩) 石膏(一斤碎) 甘草(二兩炙) 粳米(六合)
右四味、水一斗を以て、煮て米熟し、湯成りて、滓を去り、一升を温服し、日に三服す。
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