【一七三条】
傷寒、胸中有熱、胃中有邪氣、腹中痛、欲嘔吐者、黄連湯主之。方三十五。
傷寒、胸中に熱有り、胃中に邪氣有り、腹中痛み、嘔吐せんと欲する者は、黄連湯(おうれんとう)之を主る。方三十五。
172条は、太陽と少陽の合病でした。この条文にも「欲嘔吐者」とありますので、本条もそのように考えたくなりますが、どうなのでしょう。
腹証奇覧の下図をみると、胸脇苦満があるようですね。
条文を見ると、胸中に熱があるのですから、これは心中煩悸を主る黄連の主冶するところです。
そして胃中に邪気有りと述べられていますが、大黄などが配されていませんので燥屎は存在していません。
そのかわりに半夏・乾姜と人参が配されていますので、燥痰が心下で堅く結ばれていることが見えてきます。
この心下の燥痰が、気機を阻んで腹痛と嘔吐を生じていると考えられると考えていますが、みなさま、いかがでしょうか。
〔黄連湯方〕
黄連(三兩) 甘草(三兩炙) 乾薑(三兩) 桂枝(三兩去皮) 人參(二兩) 半夏(半升洗) 大棗(十二枚擘)
右七味、以水一斗、煮取六升、去滓、温服。晝三夜二。疑非仲景方。
黄連(三兩) 甘草(三兩、炙る) 乾薑(三兩) 桂枝(三兩、皮を去る) 人參(二兩) 半夏(半升洗う) 大棗(十二枚、擘く)
右七味、水一斗を以て、煮て六升を取り、滓を去り、温服す。晝(ひる)に三たび夜に二たびす。疑うらくは仲景の方に非ず。
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