ブログ「鍼道 一の会」

122.太陽病(下)164条 大黄黄連瀉心湯

一六四条

傷寒大下後、復發汗、心下痞、惡寒者、表未解也。不可攻痞、當先解表、表解乃可攻痞。解表宜桂枝湯、攻痞宜大黄黄連瀉心湯。二十六(瀉心湯用前第十七方)。

傷寒大いに下して後、復た汗を發して、心下痞し、惡寒する者は、表未(いま)だ解(げ)せざるなり。痞を攻むべからず、當に先ず表を解すべし。表解して乃ち痞を攻むべし。表を解するには桂枝湯に宜しく、痞を攻むるは大黄黄連瀉心湯に宜し。二十六(瀉心湯は前の第十七方を用う)。

傷寒に罹ったのですが、裏実の程度が大きかったのでしょう、先ず裏を攻めて後に汗法を行ったのですね。

ところが、裏証である心下痞と表証である悪寒が残ったのですが、この場合、裏実がかなり取れているので、今度は表証を解くべきだと指示しています。

その上で、まだ心下痞が残っているようなら、改めて大黄黄連瀉心湯で裏証である心下痞を治めなさいとの理解で良いのではないでしょうか。

このような経過をたどる患者の素体として、どのような状態が想定できるでしょうか。

黄連は、心中煩悸を治すのですから、心の臓に熱が存在していることを示唆しています。

大黄は、結実の毒を通利することを主ります。

これらのことから、普段から肝鬱化熱などによる多食傾向で宿食があり、加えて心労が重なり心神に熱を持っているような姿が浮かんできませんでしょうか。

宿食と心熱の主従は、問診などの臨床で確認してどちらを先に解決すれば一方が解けるのか、それとも両方を同治すべきかなどを按じて、鍼を集約して頂けたらと思います。

大黄黄連瀉心湯に関しては、過去ブログですでに触れていますので、ご覧くださればと思います。

109.太陽病(下)153・154条 大黄黄連瀉心湯

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