今回は、<類聚方広義>の以下のように、五苓散の注釈から141条を見てみます。
「病が陽にあって冷水で治そうとした云々のところは、誤治によって変証となったものである。
P51 29条
傷寒脉浮、自汗出、小便數、心煩、微惡寒、脚攣急、反與桂枝、欲攻其表、此誤也。
上記のような誤治に似ている。
今世、賤しく無知な徒は、まさにその身にすでに邪熱があるにもかかわらず、それを意とせず雷雨に冒されながらウロウロしたり、水に入って遊泳して熱を冷まそうとして、このような証になるものが、夏と秋の間に見られる。
症状は、全く同じである。
文蛤湯で、続けさまに発汗させるのが良い。
本条に文蛤散とあるのは、誤りである。」
<類聚方広義>では、以上のように述べられています。
ここで、これまでのことを踏まえて、すこしまとめます。
141条の以下の条文
意欲飲水、反不渴者、服文蛤散。
若不差者、與五苓散。
文蛤散は、五苓散と同じ口渇があるので、「意欲飲水、反不渴者」の条文は誤りだとするのが妥当だと思います。
その前の条文。
「病在陽、應以汗解之。反以冷水潠之。
若灌之、其熱被劫不得去、彌更益煩、肉上粟起。」
冷水で表熱を裏に追いやったのですから、発散・発表の方剤である文蛤湯の適応と解釈することが妥当と理解されますね。
当時の人は、「傷寒論」を深読みしてますねぇ~。
五苓散については、P70 71条 で既に述べていますので、参照してください。
五苓散と文蛤湯、そして文蛤散との使い分けは、当然病理・病態の違いとなる訳ですが、そこまで理解が及ぶでしょうか。
この点は、まず置いておいて、次回は先に進んで、「寒実結胸」の所から参ります。
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