ブログ「鍼道 一の会」

101.太陽病(下)141条 文蛤散(3)文蛤湯と大青龍湯

 <類聚方広義>の文蛤散の注釈のところでは、「文蛤散は文蛤湯に作るべし」と述べられています。

 そして文蛤湯と五苓散の注釈にその意図するところが述べられています。

 文蛤湯は、<金匱要略・嘔吐噦下利病> P341 19条に記載されています。

 吐後渴飲得水而貪飲者、文蛤湯主之、兼主微風脈者頭痛。

 吐したる後、渇して水を得んと欲して貪り飲む者は、文蛤湯これを主る。兼ねて微風し、脉緊にしって頭痛する者を主る。
[文蛤湯]

文蛤五兩,麻黃、甘草、生姜各三兩,石膏五兩,杏仁五十箇,大棗十二枚。
右七味,以水六升,煮取二升,溫服一升,汗出即愈。

 <類聚方広義>の注釈をみますと、また大いにややこしいことに、<金匱要略・嘔吐噦下利病>の文蛤湯にも錯簡があるというのです。

 結論から言うと、「吐後渴飲得水而貪飲者」は、文蛤湯ではなくて、文蛤散であると主張しています。

 むしろ兼主微風脈者頭痛」にこそ文蛤湯の方意が記されていると述べられています。

 そしてその文蛤湯証について以下のように述べられています。

 文蛤湯は、大青龍湯と一味しか違わず、分量も少しの差である。したがってこの方剤は本来発散の剤である。

 方後には、「汗出ずれば即ち癒ゆる」とあることからも明確であるとあります。

 大青龍湯と文蛤湯の薬剤を並べてみますね。

大青龍湯

麻黄6両 炙甘草2両 生姜2両 杏仁40個 大棗10枚 石膏鷄子大 桂枝2両

文蛤湯

麻黄3両 炙甘草3両 生姜3両 杏仁40個 大棗12枚 石膏5両    文蛤5両

 このように比べてみると、確かに文蛤湯は表寒裏熱の証に対する方剤で、141条の病理と符合しますね。

 ん~、ややこしいですね~。

 これ、最後にまとまるでしょうか・・・

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