【九九条】
傷寒四五日、身熱、惡風、頸項強、脇下滿、手足温而渴者、小柴胡湯主之。五十(用前方)。
傷寒四、五日、身熱、惡風、頸項強り、脇下滿、手足温にして渇する者は、小柴胡湯之を主る。五十(前方を用う)。
ここは短い条文ですが、筆者にとっては思い入れの強いと言いますか、ハッとひらめきがやってきたところです。
条文の解釈です。
悪風と首項が強ばるとありますから、太陽病位はまだ解けていません。
そして脇の下あたりが満となっているのですから、少陽枢機の不調が伺えます。
さらに手足が温でしかも口渇まで現れていますから、陽明にも影響が及んでいることになります。
このように考えると、この条文の状態は三陽の合病・併病の可能性があります。
このような場合、やはり小柴胡湯でまず少陽枢機を調え、その後もし太陽なり陽明の症候が残れば、証に随いこれを治すということで良いのではと思います。
少しまとめます。
太陽・少陽・陽明の三経が同時に病んでしまった場合、どこから手を付けるのかということです。
ここは問診でどの経にまたがって病が及んでいるのかを捉えておきます。
そして、三経にまたがって病んでいる場合、先ずは少陽枢機を治療します。
ここは、ポイントです。
一源三岐論にも通じます。(リンク貼ってますのでよろしかったらご覧ください。)
その後にまだ証が残れば、それを目標に治療します。
ここでこの『枢』ということの意味をよく理解して頂けたらと思います。
上下の枢は、中焦です。
左右の枢は、任脈・督脈です。
他にも、枢はたくさんあります。
この枢を見つけて(意識して)治療することは、太極を動かすことになりますので、細かな症状に振り回されることが無くなります。
しかも、アッというような結果を得ることが出来ます。
219条 に、三陽の合病に陽明経証・白虎湯を用いている例がありますが、本条とは病態が異なります。
陽明病に入りましたら、本条との違いを述べてみたいと思います。
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