【八〇条】
傷寒、醫以丸藥大下之、身熱不去、微煩者、梔子乾薑湯主之。方四十二。
傷寒、醫(い)丸藥を以て大いに之を下し、身熱去らず、微煩(びはん)する者は、梔子乾薑湯(ししかんきょうとう)之を主る。方四十二。
〔梔子乾薑湯方〕
梔子(十四箇擘) 乾薑(二兩)
右二味、以水三升半、煮取一升半、去滓、分二服、温進一服。得吐者、止後服。
梔子(十四箇擘) 乾薑(二兩)
右二味、水三升半を以て、煮て一升半を取り、滓を去り、二服を分かち、一服を温進す。吐を得る者は、後服を止む。
傷寒に罹り、丸薬で大いに下したのですが、身熱が治まらず、微煩が現れた病態です。
微煩なので、胸中の熱はそんなにひどくない訳ですね。
配剤をみると辛温の乾姜が配されています。
薬徴では乾姜について、「結滞水毒を主冶する」とありますので、心下に水が存在していることが伺えます。
また水毒のために、吐き気とまではなくても、気分の悪さがあるかもしれません。
丸薬と言えば、P89 131条の結胸証、水熱互結の大陥胸丸が脳裏に浮かびますが、これで下したのではないかと思います。
が、実際は何を用いて下したのかはよく分かりません。
しかし、大いに下して燥屎は取り除かれたものの、水だけが残った状態であることは分かります。
水邪と熱が存在していても、五苓散には口渇がありますが、梔子乾姜湯には口渇はありません。
ここは、鑑別点になると思います。
81条は、後人の覚書が紛れ込んだものと思われますので、原文と読み下し文のみ記載しておきます。
【八一条】
凡用梔子湯、病人舊微溏者、不可與服之。
凡(およ)そ梔子湯を用うるに、病人舊微溏(もとびとう)する者は、之を與(あた)え服すべからず。
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