【六三】
發汗後、不可更行桂枝湯。汗出而喘、無大熱者、可與麻黄杏仁甘草石膏湯。方二十六。
發汗後、更(さら)に桂枝湯を行(や)るべからず。汗出でて喘し、大熱無き者は、麻黄杏仁甘草石膏湯(まおうきょうにんかんぞうせっこうとう)を與うべし。方二十六。
太陽病で発汗させたのでしょうが、さらに桂枝湯を服用させてはいけないとされています。
それにもかかわらず。発汗が続いて喘ぎの症状が出ています。
では、表証は解けているのでしょうか。
回答は、配剤にあると思います。
辛温麻黄と苦温の杏仁は、上焦の肌表と胸間に水が存在していることを示しています。
辛寒の石膏は、胃熱が存在して口渇があることが分かります。
この麻杏甘石湯は、白虎湯と類似している点があります。
1.悪寒が無いこと。
2.口渇が存在すること。
3.裏熱があること。
差異は、白虎湯が津液が裏に不足であり、麻杏甘石湯は津液が表に過剰である点です。
総じて、麻杏甘石湯は、太陽表証で汗を取った後、肌表と胸間に水が残り、加えて内熱が存在しているために自汗と喘ぎが現れている状態であると理解されますね。
鍼を用いるとなると、どうでしょう。
病理をイメージして色々と考えてみてください。
〔麻黄杏仁甘草石膏湯方〕
麻黄(四兩去節) 杏仁(五十箇去皮尖) 甘草(二兩炙) 石膏(半斤碎綿裹)
右四味、以水七升、煮麻黄、減二升、去上沫、内諸藥、煮取二升、去滓、温服一升。本云、黄耳杯。
麻黄(四兩節を去る) 杏仁(五十箇皮尖を去る) 甘草(二兩炙る) 石膏(半斤、碎き、綿もて裹(つつ)む)
右四味、水七升以て、麻黄を煮て、二升を減じ、上沫を去り、諸藥を内(い)れ、煮て二升を取り、滓を去り、一升を温服す。本(もと)云う、黄耳杯(おうじはい)と。
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