【四一】
傷寒、心下有水氣、欬而微喘、發熱不渴。
服湯已、渴者、此寒去欲解也、小青龍湯主之。十一(用前第十方)。
傷寒、心下に水氣有り、欬(がい)して微喘(びぜん)し、發熱して渴せず。
湯を服し已(おわ)り、渴する者は、此れ寒去りて解せんと欲するなり、小青龍湯之を主る。十一(用前第十方)
40条は傷寒に対して何らかの治療をしたのちに現れた状態であるのに対し、41条は傷寒に罹り、直ちに現れた状態と考えられます。
心下の水気に続いて咳と喘ぎが記載されていますので、水逆による呼吸器症状が目立っているのでしょう。
このような場合、中焦の水が上焦に上がってきているので、希薄な鼻水や軽度の顔面浮腫も出ていても不思議ではありません。
いわゆる溢飮の状態です。
この溢飮に関しては、47.太陽病(中)40条 小青龍湯(1)金匱の記述をもう一度ご覧頂けたらと思います。
口渇が無いというのは、内熱が盛んでないか、水邪が陽気を抑え込んでいないことを示しています。
そして湯を服し終わって口渇が現れるのは、水が除かれて相対的に陽気が盛んになったことを示しています。
筆者の経験では、口渇というより口乾が現れる感じです。
もしはっきりとした口渇が現れるのであれば、素体として内熱が盛んであるがために、大量に冷飲水したところに風寒の邪を受けるなどして、急性の溢飮を起こしたのではないかと予測する出来ます。
小青龍湯を服用し、発汗が始まって口渇が現れ、または解肌した後に飲水を欲するような口渇が残るようであれば、五苓散証や猪苓湯証などを斟酌するのがいいかもしれません。
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