33条は、葛根湯の変方になります。
【三三】太陽與陽明合病、不下利、但嘔者、葛根加半夏湯主之。方三。
太陽と陽明の合病、下利せず、但だ嘔する者は、葛根加半夏湯(かっこんかはんげとう)之を主る。方三。
太陽と陽明の合病で、自下利が無い代わりに、吐き気がするものに葛根加半夏湯を用いるとあります。
半夏を加えているので、痰が関係していることが分かります。
半夏の気味 辛温 有毒
薬徴:痰飲、嘔吐を主治するなり。傍ら心痛、逆満、咽中痛、咳悸、腹中雷鳴を治す。
同じ辛温の生姜は、薬徴では「嘔を治す」とありますので、水湿レベルの邪によって起きる胃気不和に適していることが分かります。
生姜は口に含んだ感覚も、辛いですが軽く、すぐに辛味は治まります。
一方、半夏を実際に口にしますと、辛味というより毬栗(いがぐり)を口に入れたかのような鋭く鍼を刺したかのような感覚がします。
そしてしばらく、鋭い痛みが残ります。
半夏の効能は、水湿が固まり結んで痰になったものを、散じるようなイメージです。
水湿が自下利に向かわず、痰になって胃気の不和を起こしているのですから素体として宿食、内熱の存在が想定できます。
葛根湯との違いは、水湿の邪が、中焦にあるのか下焦にあるのかの違いだと考えられます。
半夏は温薬ですので、喀痰しにくい燥痰には適しないですね。
鍼を用いるのでしたら、葛根湯をベースに考慮するのがいいとおもいます。
まずは葛根湯に倣って上焦の経穴を選んで瀉法を用いて解表を図り、それで吐き気や気分の悪さが残れば、内邪の行きたい方向に引いて補瀉を加えるなどの手法が思い浮かびます。
〔葛根加半夏湯方〕
葛根(四兩) 麻黄(三兩去節) 甘草(二兩炙) 芍藥(二兩) 桂枝(二兩去皮) 生薑(二兩切) 半夏(半升洗) 大棗(十二枚擘)
右八味、以水一斗、先煮葛根、麻黄、減二升、去白沫、内諸藥、煮取三升、去滓、温服一升。
覆取微似汗。
葛根(四兩) 麻黄(三兩節を去る) 甘草(二兩炙る) 芍藥(二兩) 桂枝(二兩皮を去る) 生薑(二兩切る) 半夏(半升洗う) 大棗(十二枚擘く)
右八味、水一斗を以て、先ず葛根、麻黄を煮て、二升を減じ、白沫を去り、諸藥を内(い)れ、煮て三升を取り、滓を去り、一升を温服す。覆(おお)いて微(すこ)しく汗に似たるを取る。
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