【二六条】
服桂枝湯、大汗出後、大煩渴不解、脉洪大者、白虎加人參湯主之。方十三。
桂枝湯を服し、大いに汗出でたる後、大いに煩渴して解せず、脉洪大なる者は、白虎加人參湯(びゃっこかにんじんとう)之を主る。方十三。
桂枝湯を服用して、大いに発汗しました。この後瘧(おこり)の症状が現れれば、23条の桂麻各半湯、もしくは24条の桂枝二麻黄一湯でした。
ところが本条は脉洪大で、しかも激しい煩と口渇が現れています。
ここで、陽明病位と判断いたします。
陽明病位は、中医学的にはふたつの病型に分けられています。
陽明経証=白虎湯類・・・腑実が無い。
陽明腑実証ー承気湯類・・・腑実がある。
つまり、口渇と大便の有無で先ずは鑑別します。
飲水は、当然冷たいものを好みます。
その他の鑑別は、陽明病で行いますので、まずはこの点を押さえておいてくだされ場と思います。
口渇だけをみると、膀胱蓄水証の五苓散証や猪苓湯証にも現れます。
鑑別要点は小便の減少です。
太陽病からの変証、色々とややこしいです。
白虎湯類は、温病学では気分清熱に用いられていますので、比較的浅い熱です。
おそらくこの26条の病態でしたら、元々内熱傾向にあった人が桂枝湯証を服用して、比較的高い熱と共に、大量の発汗が見られたのだと思います。
条文には津液不足による心下痞鞕が記載されていません。
もし心下痞鞕が確認できないのでしたら、白虎湯証の可能性があります。
薬徴には、人参は心下痞鞕を主治するとあるからです。
このあたりのことは、薬能のカテゴリー人参で稿を立てたいと思います。
太陽病が解けた後も、胃と肌肉に余熱が残っているのか、もしくは伏していた内熱が気分に浮いてきたのか、どちらにしても浅い熱が鬱して煩と口渇が現れているのでしょう。
次回は、方剤の中身を見てみます。
〔白虎加人參湯方〕
知母(六兩)石膏(一斤碎綿裹)甘草(炙二兩)粳米(六合)人參(三兩)
右五味、以水一斗、煮米熟、湯成去滓、温服一升、日三服。
知母(ちも)(六兩)石膏(一斤、碎(くだ)き綿もて裹(つつ)む)甘草(二兩を炙る)粳米(こうべい)(六合)人參(三兩)
右五味、水一斗を以て、煮て米を熟し、湯成りて滓を去り、一升を温服し、日に三服す。
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