夏、真っ盛りですね。
今年の夏は朝晩が涼しく、比較的過ごしやすいと感じるのですが、皆様いかがでしょうか。
夏の過ごし方については、こちらのブログも参考になさってください。
⇒ 鍼灸医学の懐 ~四気調神大論(二)-夏・生活の要点~
さて第5回基礎講座、暑さにも負けず、元気よく気合の入った声でスタートしました!まずは永松先生によります『易学』
十二支を順次解いていただいています。今回は申(さる/しん)、酉(とり/ゆう)、戌(いぬ/じゅつ)、亥(いのしし/がい)の解説。
くしくも8月7日当日は、「立秋」。
これは前回解説して頂いた 未(ひつじ/び)天山遯 に相当します。
そして9月、「白露」になりますと 申(さる/しん) 天地否 となり、卦の下から順次陰気が増えてまいります。
終始を重ねますと、下図のようになります。
また『素問・六節藏象論篇第九』より、「脾胃大腸小腸三焦膀胱倉廩の本營居なり。 (略)能く糟粕を化し、味轉じて入出する者なり」
と言った記載を提示され、腑はひとつのものとして太極として捉えられている側面と、十一臓が胆によって調整されている側面などを紹介してくださいました。
胆の腑に関しては、金澤先生が胆の臓象学において臨床に則して詳しく解説してくださるそうです。
そして午後からは引き続き、稲垣先生による『傷寒論から学ぶ六経病』。
今回は<太陽表寒証>。 主に麻黄湯を取り上げ、麻黄、杏仁、葛根などの生薬の作用を通じて、人体の病邪の種類、さらに鍼を用いてはどのように捉え、治療するのかと言ったことを講義くださいました。
また麻黄は発汗=瀉法の薬であることから、麻黄を含んだ一般市販薬を漫然と投与することの危険性についても触れられ、漢方は安全という世間一般の認識の誤りを指摘されました。
漢方薬が保険適用され、手軽に服用できる反面、西洋医学的な診立てから処方箋が出されているのが大半です。
実際、これで良くなると言われれば、患者さんはそれを信じて服用を続けてしまうでしょう。ですが、瀉法薬である麻黄を含む薬剤は、あくまで単発~短期間の服用に止めて置く。このことの意味は、十分理解しておかなくてはなりません。
受診されている患者さんが服用している漢方薬に対する正確な知識が要求されるのです。
毎回感じることですが、このような観点からもやはり『傷寒論』は、鍼灸家にとって必須だと思いました。
そして金澤先生による『臓腑経絡学』。今回は<脾の臓>。
手の指でVサインが出来るのに、足ではなぜできないのか??
・・・なぜでしょう?考えたことがないです・・・そのような当たり前と思っていることを経絡流注で解かれました。
下肢に流注している経絡は、相互に交差しており、とりわけ足の甲は複雑に交わっている。
それに比べて上肢の経絡流注は、絡脉を除いてほぼ真直ぐに流注し、五指に単独で流れています。
また足と違い、手の甲では全く交差していない。
このことから導き出されるのは、陰は濁気であるため混在し、足の三陰三陽はひとつとなって主に大地の如く身体を支えることが主な目的である。
反対に陽は清気であるため混じることが無く、手の三陰三陽は天の代行として細かなことを行うのがその主な目的である。
なるほど・・・
また、五労のうち、脾は久坐すると傷れるのであるから、座位で手と目を多く使う現代人の労働形態は、脾を傷りやすいだけでなく、気逆を起こしやすいことなどを話されました。
さらに脾募:章門穴が足厥陰肝経に属していることを考えると、肝脾同病の状態が現れることがわかります。
その際、肝兪・胆兪・太衝・丘墟、脾兪・胃兪・太白・衝陽などの穴所の反応を中心に、その他の臨床所見と合算すると、中心となる虚実が明確になると話されました。
加えて、肝脾同病の虚実のバリエーションについて、方剤学を知識として持っておくと、かなり正確に病態把握することができる。ゆえに方剤学は必須であるとも説かれました。
ちなみに肝脾同病の方剤として代表的なものといえば、当帰芍薬散、芍薬甘草湯、逍遙散、四逆散などが挙げられます。
一口に肝脾同病と言っても、そこに関わる病邪の種類と、臓腑相互の虚実関係によって多様になりますね。
今後、稲垣先生が『生薬から学ぶ人体と病』講義において、方剤を取り上げて解説して下さる予定ですので、一の会の皆様は足厥陰肝経流注などをおさえておかれると、より理解が進むと思います。
そして最後はやはりこの人、永松先生による『一之道術』
二人一組になり、
- 力を抜いて(脱力ではありません)、
- 互いの気を感じながら、
- 自分の軸をずらさずに、
- 相手の軸をずらす。
練習です!
毎回、ゲーム感覚で楽しんでいます。
遊びながら、切診・刺鍼は言うに及ばず、対人関係にまで通じる 奥の深いものを今回もまた感じました。
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