5月10日に、2015年度『一の会・東洋基礎医学講座』の第2回目を開催しました。
『中医学から学ぶ東洋医学用語』を講義中の稲垣順也 |
私・稲垣が担当している『中医学から学ぶ東洋医学用語』では、今回、陰陽概念を生体に適用することで生まれた理論の中から、「精・神」と「臓腑・経絡」という2つの考え方について講義しました。
講座でもお伝えしていることですが、東洋医学用語を覚える時は、用語と定義を丸暗記しようとするのではなく、その用語を歴史上自分が初めて使い出すかのような気持ちで、用語の必要性や発想の出発点に思いをはせつつ取り組んでいただきたいなと思っております。
『経絡学』を講義中の西岡利子先生 |
続いて、西岡利子先生の『経絡学』では、臓腑の一つ「肺」の蔵象と、その「正経・経別・絡脈・経筋」について、ご講義いただきました。
また、陽なる経脈である「足の陽明胃経」がなぜ人体中の陰位とされる腹部を通るのかという問題について、「深浅」もまた陰陽概念の一つの姿であることをご紹介くださり、解答の提示と共に、陰陽概念の臨機応変な使い方も例示していただけたように思います。
『傷寒論から学ぶ六経病』を講義中の稲垣順也 |
私・稲垣のもう一つの担当講義である『傷寒論から学ぶ六経病』では、「傷寒論」の功績が「八綱弁証」と「六経弁証」という形で現代の東洋医学に生かされていること、また、「八綱弁証」と「六経弁証」は鍼灸師にとって修得しておく価値のある見識であることをお伝えしました。
肩こり・寝違い・腰痛などの治療だけを期待されている中、風邪の諸症状も改善してあげられたことで鍼灸の力を信頼していただけたのは、私のうれしい体験の一つです。
『空想から現実へ・イメージから具体へ』を講義中の金澤秀光先生 |
金澤秀光先生の担当講義では、「空想から現実へ・イメージから具体へ」が今回のテーマでした。
東洋医学理論を臨床で実践するためには、理論を単に知るだけでなく、「腑に落としていく」ことが肝心です。
それが出来る学びの姿勢はどのようなものであるかを伝えるべく、「五藏」理論誕生の経緯を擬似的に体験することをねらいとした講義を行ってくださいました。
『東洋身体学基礎』を講義中の永松周二先生 |
永松周二先生の担当講義「治療家の身体作り・第二回」では、切診において、指先に伝える力を五段階に調整することが出来るかどうかをチェックしていただきました。
永松先生に「皮・脈・肉・筋・骨」を診察するにふさわしい圧力で体に触っていただくと、面白いことにその圧力は、体幹の、私の中の五藏の気が集積していると思われるところまで、それぞれ伝わっていきました。
東洋医学理論の身体感覚に根差した側面や、生命に対する古人の丁寧な姿勢を思い知らせてくださいました。
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