8月9日に『一の会・東洋基礎医学講座』の第5回目を開催しました。
『経絡学』を講義中の西岡利子先生 |
西岡先生ご担当の『経絡学』では、「手少陰」と「手太陽」の「正経・経別・経筋・絡脈」について学びました。
また、「手少陰」と「手太陽」が関わりを持つ「心の臓」との絡みで、臨床心理学が対象としている心身の問題を中医学ではどう捉えられるか、といった提示もなされました。
心身に問題を生じている状態は五行の立場では「心神不寧」という概念に集約できるのですが、生体内の陰陽がどんな形であれ失調しさえすれば、心神不寧は出現し得るということでした。
心と体を完全に一体のものとして捉える東洋医学の特徴を、いつもとはまた違った切り口で表現してくださったように思います。
『中医学から学ぶ東洋医学用語』を講義中の筆者・稲垣順也 |
稲垣担当の『中医学から学ぶ東洋医学用語』では、「腑」について取り扱いました。
中医学によって整理された「腑」の概念をお伝えすると同時に、中医学と「素問」の幾つかの篇とでは、「腑」に関する考え方に違いがあることを紹介いたしました。
『傷寒論から学ぶ六経病』を講義中の筆者・稲垣順也 |
稲垣担当の『傷寒論から学ぶ六経病』では、「太陽傷寒証」について取り扱いました。
漢方薬として有名な「葛根湯」や「麻黄湯」の正しい使い方をお伝えすると同時に、それらの処方が使われるべき時に身体はどのような状態であるのか、我々が鍼灸で解決すべき問題は何なのかといったお話を致しました。
鍼灸臨床について講義中の金澤秀光先生 |
金澤先生のご担当講義では、「鍼灸臨床はいかにあるべきか」といったテーマが、一貫して取り扱われております。
古方派の大家・吉益東洞先生は、 「医術で結果を出すためには道を得る必要がある」 といった言葉を残しておられます。
この「道」は自得する以外に手に入れる方法はなく、師弟はもちろん、たとえ親子であっても一方的に教授することは出来ないものだとも付け加えられています。
今年度、金澤先生が一貫して言われていることは、この「道」を得ようとして鍼灸医学とは接しなさい、この「道」に裏打ちされた臨床を目指しなさいということだと思います。
ここでの「道」を、筆者・稲垣が現時点の力量で言い換えようとすれば、「確かでまっすぐな世界観(人体観・疾病観・死生観)」といった言葉が浮かんできます。
『易学』も担当してくださっている永松周二先生 |
永松先生ご担当の『東洋身体学基礎』では、今回は番外編ということで、『易学』の内容を学びました。
コインを6枚使って「易占」に興じ、「八卦」や「六十四卦」を身近なものにしていこうという内容でした。
筆者はこの受講以来、「今日の運勢」をテーマに、易占で遊ばせていただいております。
当たる・当たらないではなく、出てきた「卦」をどう読むか・どう生かすか、「卦」を通して今日という日をどう解釈するか、物事に対する新しい見方は出来ないか、自分は固定観念に捕らわれていないか、といった辺りが大切なのだろうと思います。
それが「陰陽」を使って世界を見る実践的なトレーニングとなるのでしょう。
「今は熱すぎて鍋を持つことは出来ないが、いずれは冷めることになる」といった教示を受け、最初は「強引に事を進めようとするな」という戒めかと思いました。
しかし、自分の性格を踏まえて更に考えていると、「自重したことを後から反省する必要はない」という慰めかも知れないなと思えてきたりしました。
解釈に生じるそういった変化が面白いと感じます。
易学を、実生活で実際に活用しながら学び、確認して参りたいと思います。
8月22日(土) ⇒ 一の会・養生講座(担当:永松周二先生)
8月23日(日) ⇒ 一の会・東洋臨床医学講座(第5回)
9月12日(土) ⇒ 一の会・養生講座(担当:金澤秀光先生)
9月13日(日) ⇒ 一の会・東洋基礎医学講座(第6回)
コメントを残す