いよいよ夏本番ですね。
この時期はしっかりと汗をかいて、体に熱などがこもらないように発散しておくことが必要です。そうでないと次の季節 「秋」 にその影響が出てきやすいです。
また、きちんと汗を出して体温調節ができる体は、簡単に熱中症などにはなりません。
問題は、発散できない・あるいは発散させていないことにあるようです。
今月も暑さに負けず、気合の入った講座が開催されました。
以下、レポートをさせていただきます。
1限目:易学
永松副代表
永松周二先生 |
今回は、「河図」と「洛書」を取り上げ、その成り立ち~先天八卦・後天八卦が生まれる所以、数字の意味するもの、五行論とのつながり等について解説していただきました。
「易」は難しいです。しかしこれからどのように蔵象学とつながっていくのかが楽しみであります。
実は筆者は ついていけていないので、基本となる八卦・十干・十二支を暗記すること、河図・洛書の図をじーっと見て、方位や数字から何が見えてくるだろうかと、考えることにしています。
右脳・左脳をフルに使って、あきらめずについていきたいと思います。
休み時間も質問 |
2限目:生薬から学ぶ有名病証
稲垣学術部長
稲垣順也先生 |
生薬見本 |
味見中…..「苦い!」 |
3限目:時事講義~4限目:臨床実技
金澤代表
僕の手の内を見せてるんですよ! |
午前の講義を引き継ぎ、より具体的にどのように臨床に応用するかということがテーマでした。
稲垣先生が、方剤学を用いて『気滞』が虚に転化していく典型的な病理変化パターンと、実実に転化していくパターンを示されたことから。
では具体的に腹診・背部兪穴にどのように現れるのか、臨床経験から得た事実を明示されました。
また三黄瀉心湯を例として、
●方剤学で記されている 邪熱 が身体のどの部位に存在するのかを、実際目で見て、手の感覚で捉えることが重要。
●治療の際、方剤学では単に 清熱 と記されていても、我々鍼灸師は、その邪熱をどのような形で、どこへ導いて排泄(祛邪)するのか、もう一歩踏み込んで深読みする必要がある。
●我々鍼灸師は、方剤学から得た病態把握と祛邪の方法さえ手中にすることが出来れば、方剤学とは違った祛邪の方法があり、その効果はその場で現れる。
(三黄瀉心湯は、邪熱を腑に導いて大便と一緒に排泄するが、鍼灸の場合、邪熱が存在している部位からダイレクトに祛邪するのもよし、邪熱を手足に引いて祛邪するのもよし、といった具合である。)
鍼灸師は、ダイレクトに人の身体に触れながら気を動かすので、中医的な症状の羅列だけを覚えても、ものの役には立たないとも説かれる。
一方、東洋医学は『心身一如』と言われながらも、「七情の不和」が腹診・背部兪穴・脉診・気色診に、具体的にどのように現れるのかについて、解説されている文献が皆無である。
それを解くカギが、黄帝内経 素問<刺熱論>にあるとされ、ここに記載されている五臓の熱は、七情抑うつに因るものと解釈されました。
五臓それぞれの熱の病症は、他臓の病症に相まって複雑であるものの、その鑑別方法は三椎下から七椎下の記載によって集約される。
さらに何故督脈上に鑑別点が現れるのか。三椎下から七椎下以外には、どのように現れるのかなど、蔵象学・経絡学・内経医学と方剤学を背景に、生体をくまなく観察した結果を提示されました。
そして、この場で提示したことを鵜呑みにするのではなく、このような理解に至った背景となるものに思いを馳せ、自分自身で発展するべく勉学に励むようにと説かれました。
5限目:身体学講義・実技
永松副代表
内旋・外旋の動きを感じて |
東洋医学の伝統的な診察方法(四診の中の切診)においては、「皮毛」や「血脈」を診るのが主となっています。今回のテーマは、東洋医学においてはあまり触れられない「肌肉」を診る意義について。
静かに触れて感じることで得られる情報があります。
(第2回目の基礎医学講座においては、切診時の圧の調整を教授していただきました。)
肌肉の動きは脳脊髄液の流れと連動しているそうです。
西洋医学的な整体治療にも精通しておられる、永松先生ならではの実技となりました。
最後に、黄帝内経霊枢:九鍼十二原論から、『粗守形 上守神』 を引用され、
我々は、身体に現れる症状のみに目を奪われてはいけない。
もっと広い見識をもって、患者の置かれている状況とその心にまで届く鍼をしなければならない。
このように檄を飛ばされ、会は終了いたしました。
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