この投稿は、ブログ『鍼灸医学の懐』に投稿していた内容を転記したものです。
6月29日に行われました、第三回、「一の会」の様子です。
冒頭は、稲垣順也先生による中医学。
今回は、五行論を臨床で有効に用いるため、是非とも必要な考え方・用い方の基本についての講義でした。
五行論は鍼灸必須の臓象学と深く結びついているのですが、内経の中で紹介されている五行で括られたものをイメージとして捉えるには、四季・方位・気の方向性など、陰陽論と同様にその観点を自由に切り替えることのできる頭の柔らかさが求められます。
このことを、古典の記載を例に、分かりやすく講義して頂きました。
五行を機械的に運用すると、事象をありのまま正確に捉えることができなくなってしまいます。
次いで、経絡学と臓象学です。
僕が担当していますが、前回までの内容をまとめて発表できる人がいないかと、募りましたところ今波乃衣先生が名乗り出てくださいました。
話し方もしっかりとして分かりやすくまとめておられ、真剣に学んでおられる姿勢がよく伝わって参りました。
中国で三年間、日本語教師として赴任されたキャリアもまた、十分に感じさせて頂きました。
そして再び、稲垣順也先生による「傷寒論」講義。
傷寒論の現代中医学的解釈では、事象の本質を捉えることの困難さの根拠とその限界について、証と方剤構成を明示して講義頂きました。
中医学的解釈は、とっつきは好いように感じるのですが、それをそのまま臨床に用いようとすると、多くの矛盾に突き当たることになります。
初学の先生方には、少し難しく感じられたかもしれませんが、粘り強く取り組んで頂けると、霧が晴れるような感覚になって頂けると思います。
そして最後に、永松周二先生の東洋身体学講義。
呼吸の仕方と立ち方。身体の中心を意識するだけで、こんなにも自分の感覚が良くなると感じられた先生方が多いと思います。
弟子の三谷君。身長差には勝るものの、永松先生に逆らえず好いように操られてましたね(^-^)
身体を感じながら動かすのが皆さん楽しいのでしょうか、永松先生大人気!
僕個人の感想は、まず気持ちが良いということ。
もう一点、お手合わせの相手によって、こちらの重心の感覚も大きく異なることに気づきました。
永松先生がお手合わせ下さると、僕自身の重心がぴったり臍下丹田に定まるのが良く分かって驚きました。
自分の重心を定めると、相手のことが良く伝わってきます。これは極めて重要なことであります。
この感覚は、鍼をする時はもちろんのこと、患者さんの身体に触れる時に絶対的に重要なことです。
言葉で伝えることも大事ですが、それ以上に、自ずと患者さんの肌を通じて伝わる感覚は、言葉を超えた納得感をもたらすことを実感した講義実習でした。
来月は、7月26日です。
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