ブログ「鍼道 一の会」

暦の基本的な理解・・・<素問・六節蔵象論>より

五運六気学説

初秋 まだまだ鮮やかな花々が楽しめます
 
 


 「一の会」では、内経医学の天人合一思想を中心軸に据えて参加者、講師ともに学びを進めております。

 
 この天人合一の観点から易学と五運六気を医学に応用すべく、永松周二先生に講義して頂いているのですが、まずは基本的な暦と陰陽の変化を、筆者の復習として解説いたします。

 暦に関しては、たくさんの種類があるのですが、ここでは<素問・六節蔵象論>に記載されています太陽暦「六六を以て節とする」という部分を中心に解説したいと思います。

 「六六の節」は、1年を360日として計算されたものです。

 一般的に知られている24節気は、太陽暦で計算すると360日÷24節気=15日と非常に分かりやすいですね。

 この1年360日の起源は、紀元前5000年ころメソポタミアのバビロン人によるものだそうで、太陽は天度1度ずつめぐるので、360度を一年と定められたことに始まるのだそうです。

 円周が360度なのはバビロニア人が作った暦が起源で、数学的に割り切れて便利なことから、現在も用いられています。

 1時間60分とされてる60進法も、ここに起源があったのですね。

 さて、現在は1年365日となっており、五運六気も1年365日で計算されていますが、ここでは<素問・六節蔵象論>1年360日「六六の節」を説明して参ります。

<素問・六節蔵象論>の一部抜粋です。いきなり漢文ですが、読み飛ばして頂いても結構です。

 以下のブログに、分かりやすく全文を意訳していますので、ご興味のある方は以下をクリックしてご覧ください。

 
 
 「一の会」の皆様は、今後の講義がより深く理解することが出来ますので、是非一読しておいてください。

天以六六爲節.地以九九制會.天有十日.日六竟而周甲.甲六復而終歳.三百六十日法也.
 天は六六を以て節と爲し、地は九九を以て制會す。天に十日有り。日に六竟して甲を周る。甲六復して歳を終える。三百六十日の法なり。

五日謂之候.三候謂之氣.六氣謂之時.四時謂之歳.而各從其主治焉.

 五日これを候と謂う。三候これを氣と謂う。六氣これを時と謂う。四時これを歳と謂う。しかして各おの其の主治に從うなり。


 甲と記されているのは、甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸の天干=十干の最初を指しています。
 この天干=十干に、いわゆるエトと呼ばれる 、地支=十二支である子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥を掛け合わせたものが、いわゆる甲子表と言われるものです。

 

 見てのとおり、天干と地支の組み合わせは、2つずつずれるので、天干は6周、地支は5周でちょうど60通りの組み合わせが出来上がります。

 還暦と呼ばれているのも、生まれた暦歴に還(かえ)ることから由来しています。

 壬申の乱であるとか、辛亥革命とか歴史で習っていると思いますが、現代の西暦の代わりに年号を現すために使われていたのですね。

 さてこの天干は、太陽を観察して得られた暦です。

 (ちなみに十二支は、月の周期と北極星の動きを観察して得られたものです。)

 古代中国では、圭表(けいひょう)という道具を用いて太陽を観察し、表(棒)の影の長さを圭(目盛盤)で観測していました。

 
圭表
 
 
 そしてまず、影が最も長い時を冬至とし、影が最も短い時を夏至と定めます。
 
 これで冬至と夏至の二至で、円が二分割されます。(図1)
 
図ー1

 次に最も長い影と短い影の中間をそれぞれ春分と秋分と定めます。
 春分と秋分の二分を加えると、円が四分割されます。

 
 ここまでの作業は、二至二分と称されています。(図2)
 
図ー2  四季・四時 二至二分
 

 これで、
四季四時が明確になります。一季・一時は90日となり、四季・四時を掛け合わせると360日となります。
 

 ここからさらに四時の中間に立春・立夏・立秋・立冬を立てて八節にします。これを四立と称します。(図3)
 
 八節は、一時90日の半分なので、45日になります。従って45日×8節=360日となります。
 
 
 
図ー3 八節

 


 さらにこの一節を15日ずつ三等分します。
 
 この3等分の1を素問では、「気」と称しているのですが、現在では節気と称され24節気として一般に広く知られています。(図4)  15日×24節気=360日
 
 
 
図ー4 24節気
 
 

 そしてこの節気をさらに三等分したものを候と称します。つまり5日を一候としますので一年は72候となります。(図5) 5日×72候=360日

 
 
 
 

図ー5

 
 1候は、まず天の気が先行します。次に天の気を受けた地の気が変化し、そして天地の間の人の気に変化が及ぶことを示しています。(図5)
 
 具体的に昼間を例にすると、まず天の太陽の陽気が高くなると、少し遅れて大地が温められます。
 
 すると温められた大地から地気が立ち上ります。そしてようやく天地の間の人の気(百葉箱)の陽気が上がってきます。
 
 太陽高度が最も高くなる正午の気温よりも、少し遅れて私たちが生活している場の気温が上がることを説明したものです。
 
 陰気の消長も、同じように考えます。
 
 
 
 
 
図ー5 三才陰陽変化
 
 

 そして太陽暦を365日にした上で、月の満ち欠けと北斗七星の柄の部分の位置を掛け合わせて、現在の太陰太陽暦が出来上がったのですね。
 
 詳しくは、ブログ鍼灸医学六節蔵象論 をご覧ください。

 
 「六六の節」は、五運六気の考え方を大雑把に述べたもので、五運六気論では60日と87.5刻を1気としています。(一日=100刻)

 
 これから筆者自身の理解のために、少しずつまとめて参りたいと考えております。
 
 読者諸氏からも、ご指導を賜れば幸せです。
 
 
 一の会

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