頭部は五行として前から後へ五本のラインで区切ってそれぞれの取穴部位、症状、主治、鍼の深度、灸の壮数を記載しています。
五行と言っても正中線(矢状縫合に沿った督脈)以外は左右一対なので、実際には三種になります。
この記載の仕方は、黃帝三部鍼灸甲乙経と類似しており、実際に取穴部位、主治穴、鍼の深度、灸の壮数等、ほとんど同じです。
原文の主治だけを記載すると、
顖会:風にて眩し、頭痛、半身、顔の冷え、目に泣出で、寒熱に竦み喘ぎ、目は見ること能わず、
癲疾を煩ひて沫を嘔き、倒れ伏すを主どる
癲疾を煩ひて沫を嘔き、倒れ伏すを主どる
前頂:風にて眩し、目瞑く痛み、悪しき風寒にて、面の赤く腫れたる、小児の驚癇するを主どる
百会:痎瘧き、頂痛み、風にて頭重く、目は脱くるが如く、左右に顧みる可からず、癲疾、耳鳴り、
熱病にて汗出で、而も善く歐き竦み、小児の癇するを主どる
熱病にて汗出で、而も善く歐き竦み、小児の癇するを主どる
後頂:風にて眩し、目茫々として、顱上痛み、瘛瘲、狂走、頂の直く、頸痛み、癲疾あるを主どる
強間:癲疾、狂走、瘛瘲、頭を振り、口歪み、涙出で、頸強きを主どる
甲乙経をベースにしている鍼灸経穴辞典(東洋学術出版社刊)には、作用として数単語で簡略化して書かれていますが、医心方では癲狂を例に挙げて具体的な症状を書きながら主治を表しています。
そして、甲乙経では巻三「頭直鼻中髪際旁行至頭維凡七穴第一」として、氣穴から説明されていますが、医心方ではわざわざ「頭直鼻中入髪際一寸循督脈却行至風府八穴第二」の二穴目である顖会から始まっています。
孔穴主治法第一の文頭には、黃帝明堂経や華扁鍼灸法は難しいので簡単に書きますとありました。
時病としてクローズアップされていた癲狂に関しては、かなり具体的に書かれており、かなり初歩的な理解がしやすくなっています。
時病としてクローズアップされていた癲狂に関しては、かなり具体的に書かれており、かなり初歩的な理解がしやすくなっています。
しかし、大事なのはこれを更によく見てください。いや、見ると言うより観てください。そして、しっかりとイメージしてみてください。
具体的に癲狂という病に当たれば、より精密な状況が理解しやすくなっていますが、
それ以上にこのような書き方をすると、この五穴は一つであり連続したものであるように見えます。
イメージすると風によって上焦に熱が籠もる事により、行き場のなくなった熱の有様が思い浮かびます。
癲疾以外にも広げて行けそうな気がしませんか。
癲疾以外にも広げて行けそうな気がしませんか。
癲狂は病として当時「霊枢」癲狂第二十三に詳述されています。
急を要する場合は、医心方を観れば自分の勉強不足を補うだけのイメージと情報が得られますが、事前に準備ができるのであれば、当然ながら当時最高医典である黃帝内経・素問、霊枢、難経等は読んでいるでしょうし、詳細にイメージしやすくなります。
急を要する場合は、医心方を観れば自分の勉強不足を補うだけのイメージと情報が得られますが、事前に準備ができるのであれば、当然ながら当時最高医典である黃帝内経・素問、霊枢、難経等は読んでいるでしょうし、詳細にイメージしやすくなります。
読んだことがない人であれば、詳細に知る為に読むきっかけになるかも知れません。
文字だけ追う人には、その文字以上のものは得られません。
巻一での準備ができていない人が、やみくもに巻二に入っても得られるものは文字だけ追う人、
理解だけする人になってしまう可能性があることを、勝手に妄想しつつ愚考を締めたいと思います。
理解だけする人になってしまう可能性があることを、勝手に妄想しつつ愚考を締めたいと思います。
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